一方、2024年の日本やドイツでは、そもそもアメリカほど経済成長が高まらなかった。経済の停滞が、これらの国の首脳の交代や政権の揺らぎをもたらしたわけで、マクロ安定化政策(金融財政政策)が十分機能しなかった、ということになる。
「財政拡張派」勝利なら2025年のドイツ経済は浮上へ
ドイツでは、12月16日に下院で、ショルツ首相の信任投票が行われ、反対多数となった。その結果、2025年2月23日に下院の解散総選挙が行われる見通しとなった。ショルツ内閣が少数与党政権となり、2025年予算成立が見込めない状況の中で、首相自らが政治的打開を図ったのである。
総選挙の争点の1つは、財政政策である。元々、与党内では財政ルール(債務拡大抑制)の緩和を主張するSPD(社会民主党)や緑の党と、財政規律の堅持を主張するFDP(自由民主党)の意見対立で連立内閣が崩れて、今回の不信任決議に至った。
SPDは、総選挙でも引き続き拡張的な財政政策を主張するとみられる。税制では、富裕税復活を除けば、食料品の付加価値税率引き下げや投資促進税優遇などを主張しており、現在の厳格な債務拡大ルールの改正が争点になりそうである。
主要先進国の中で、もっとも財政規律が厳格に運用されている同国では、コロナ禍後に緊縮的な財政政策に転じた中で経済停滞が深刻になり、財政政策の方針が政治的な争点になっているわけだ。もし財政政策の機動的な運用を主張するSPDなどが総選挙で勝てば、財政政策はより拡張的になり、2025年に同国経済が停滞から脱するシナリオが浮上する。
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