「だよね」の地位を奪った「それな」の正しい使い方 言語学者が10代娘から学ぶ"謎な日本語"たち

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三女次女:だからダイエット失敗するんだよ!

「正義構文」とは

「正義」は大事ですが、同時に危険です。「正義」よりも「正義感」が危険なのかもしれません。誰かが社会的に間違ったことをしていたら、その人を糾弾し罰することが正義だと考えると、個人攻撃も私的制裁も正義となります。

そうした誤った「正義感」がはびこる社会はいじめが横行し、けっして住みよい社会とはなりません。

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「法律は正義」「権力は正義」「犠牲は正義」「努力は正義」「自由は正義」「数は正義」「安さは正義」など、一見どれも正しそうに見えますが、それらは進みすぎると問題を起こすものばかりです。一面的なものの見方を強制するのは危険です。

しかし、若い世代で使われている正義構文は、個人の趣味や嗜好を表す正義であり、害悪はありません。

「カレーは正義」「スイーツは正義」「スニーカーは正義」「バッグは正義」「にゃんこは正義」「ぬいは正義」「2次元は正義」「筋トレは正義」など、他者に押しつける正義ではない点で好感が持てます。

なお、正義構文に似た構文に「○○は裏切らない」構文というのもあります。たとえば、「筋トレは裏切らない」であれば、筋トレを継続していればかならず結果が出るという意味で使われ、「○○は正義」の論理と共通しています。

ほかにもさまざまな「若者言葉」がありますので、その深みと味わいをを感じてみてください。

石黒 圭 国立国語研究所教授、総合研究大学院大学教授、一橋大学大学院言語社会研究科連携教授

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いしぐろ けい / Kei Ishiguro

1969年大阪府生まれ。神奈川県出身。一橋大学社会学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は文章論。1999年に一橋大学留学生センター専任講師、2004年に同助(准)教授、2013年に一橋大学国際教育センター・言語社会研究科教授を経て現職。
 主な著書に『コミュ力は「副詞」で決まる』『文章は接続詞で決まる』『語彙力を鍛える』(以上、光文社新書)、『この1冊できちんと書ける! 論文・レポートの基本』(日本実業出版社)、『よくわかる文章表現の技術Ⅰ~Ⅴ』(明治書院)、『文系研究者になる』(研究社)、『ていねいな文章大全―日本語の「伝わらない」を解決する108のヒント』(ダイヤモンド社)、などがある。

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石黒 愛
いしぐろ あい / Ai Ishiguro

首都圏にある某大学文系学部に通う大学2年生。石黒家の三姉妹の長女。

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