「だよね」の地位を奪った「それな」の正しい使い方 言語学者が10代娘から学ぶ"謎な日本語"たち
父:なるほど。キュアリアスの血が騒ぐぞ。もっと詳しく例文を頼む。
長女:キュアリアスの血って、Eテレのお猿のアニメでも見たのかな。……ゆうて、「それな」に大した意味はないよ。さっきも言った通り、相手の言ったことにたいして同意、共感を示すときに使うの。「動物園より水族館のほうが好き」「それな!」という感じで使い勝手はいいよ。
父:前に出てきた「わかりみ」に似ているな。
長女:そう。使い方とか、使い勝手の良さとかはそっくりなの。ちなみに「それね」とか「ねー、それ」とかも「それな」の派生系だよ。
父:ふむふむ。「わかりみ」と「それな」だと、どっちのほうが一般的なんだ?
長女:それは好みの問題だよ。まわりの友達にも「それな」ばっかり言う子と、「わかりみ」をたくさん使う子がいるよ。
父:そうか、口癖かあ。なら、まずは自分でも使えそうな「わかりみ」から使ってみようかな。
長女:それな! 遅れているお父さんには、それくらいから始めるのが良いと思うよ。
「それな」とは
「DA.YO.NE」という曲があります。EAST END×YURIのデビュー・シングルで、1994年に発売され、ミリオンセラーとなりました。歌詞で繰り返し使われるキーフレーズは「だよね」です。
当時の若い世代は、仲間うちで相手の言葉に相づちを打つとき、「そうだよね」を短くした「だよね」を多用しており、それを歌詞にうまく取り入れたことから時代の支持を得たと考えられます。
「DA.YO.NE」(だよね)が高い支持を得たことから、ご当地バージョンがいくつも作られました。関西版の「SO.YA.NA」(そやな)、名古屋版の「DA.GA.NE」(だがね)、東北版の「DA.CHA.NE」(だっちゃね)、北海道版の「DA.BE.SA」(だべさ)、広島版の「HO.JA.NE」(ほじゃね)、博多華丸氏が関わったことでも知られる福岡版の「SO.TA.I」(そーたい)があります。