中国ロボタクシー企業が相次ぎアメリカで上場したのには、2つの背景が指摘されている。
1つ目は当局の“軟化”。近年の日中関係の悪化で、中国企業のアメリカ上場には高いハードルが課せられるようになった。
Pony.aiは2021年にもアメリカでのIPOを模索したが、アメリカ証券取引委員会が中国企業に対する監視を強化し、中国当局側も国内データを収集するテック企業のアメリカでの上場に難色を示したため、計画凍結を余儀なくされた。今回、技術系2社が連続してアメリカでの上場の承認を得られたことで、中国テック企業への投資に弾みがつくのではと期待が高まっている。
もう1つの背景は、ロボタクシーがより多くの資金を必要としていることだ。2社は毎年100億円単位の赤字を計上している。
Pony.aiはロボタクシー事業の損益分岐点を「一級都市で1000台体制」としており、今月11日、国有自動車大手の広州汽車集団傘下のEV企業「広汽埃安新能源汽車(AION)」とロボタクシーの量産で協業すると発表した。AIONの工場で自動運転システムを搭載した車両を生産し、2025年中に中国南部の広東省や香港、マカオを含む経済圏「大湾区」に1000台のロボタクシー投入を目指すという。
自動運転技術への投資、車両の生産のために巨額の資金を必要としており、早期上場が成長の鍵を握っていた。
アメリカでは強敵も待ち受ける
冒頭の舛添前知事の「中国に先を越された」「日本は中国に負けている」論に話を戻そう。たしかに先進技術の実装においては中国のスピード感は日本を圧倒するが、収益化は別の話だ。
中国メディアの分析によると、Pony.ai、WeRideを含めて中国には上場・上場準備をしている自動運転スタートアップが10社あるが、うち9社が赤字となっている(残る1社は財務データが公開されていない)。
Pony.ai、WeRideの創業者がかつて在籍していたバイドゥも武漢市でロボタクシー400台を展開しており、年内に1000台体制に拡大しようとしている。
国内の競争もさることながら、海外進出にも積極的な中国勢は、アメリカ・アルファベットの子会社であるWaymo(ウェイモ)とも競争しなければならない。
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