大半が揉める「共同親権」うまくいった夫婦の実話 日本には平和的に運用する視点が圧倒的に足りない

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今年、長男くんの誕生日パーティがわりに、キャンピングカーで家族旅行したときの一枚。離婚前、家族でキャンピングカー旅行をしたときは終始イライラギスギスしていたのに、今回は全員が心から楽しく過ごせて、その関係性の変化にあらためて驚いたそう。ノリコさんはYouTubeのサブチャンネル「NOBI LIFE」で離婚時のことやその後についても発信している

条件が揃わないと、かえって子どもを苦しめる

彼らは、「離婚しても、両親で育児をするのは、子どもにとってとてもいいこと」と共同養育を全肯定したうえで、共同親権(スペインは日本と同じく言葉の意味的にも「親権」)というシステムの難しさについても語ってくれました。いろいろな条件が揃わないと、かえって子どもを苦しめることにつながるからです。あらためて、マンガに描いた以外のことも含めて、彼らに揃っている条件をまとめると、

・話し合いが成立する。
・両者が家事育児ができる。
・「子ども最優先」で意見が一致。
・「子どもの教育方針」が合っている。
・「面会交流は最初に決めたルールにとらわれない。子どもの都合や意思に合わせて柔軟に」で意見が一致。
・仕事柄、フレキシブルに予定を変えることもできて、子どもに合わせやすい。
・相手の実家の家族とも仲がいい(離婚しても、ミケさんの母親は「ノリコは私の娘!」と言ってくれる関係)。

となります。この条件がすべて揃うことはかなり難しいにしても、こういったことが子どもの幸せにとって大事だと認識するのは大事だと思うのです。

さらに、スペインでは日本よりもカップル・カウンセリングを受けるのが一般的で、そういったものも利用しつつ、バランスを取る人も多いのだとか。ミケさんは、離婚後にできた新パートナーと一緒にカウンセリングに通うようになり、それが自分を見つめ直すことにつながったそうです。ノリコさんに手紙を渡したのもカウンセリング後のことだったとか。ノリコさんも、自分の卑屈さがマイナスになっていたと当時を省みています。

日本はいま、共同親権の施行準備中です。もし元夫婦がお互いに協力し、子どもの気持ちを考えつつ共同養育ができるなら、家族にとってプラスになることは間違いありません。日本は現状でも共同養育は可能なので、それを実感している家庭もあることでしょう。

ただ、共同親権が施行されれば、話し合いが難しい夫婦でも共同親権になってしまう可能性があります。ミケさんが指摘するように、日本は、共同親権というシステムを平和的に運用するための、労働環境、家事育児分担などの文化が足りていません。

DV・モラハラなどの対策、子どもの意思を尊重するシステム、養育費などの体制が不十分だという指摘もあります。共同養育推進でうまくいった実例もトラブル実例も、海外にはすでに出揃っています。ぜひそれらを参考にしてほしいと、切に願ってやみません。

この連載にはサブ・コミュニティ「バル・ハラユキ」があります。ハラユキさんと夫婦の問題について語り合ってみませんか? 詳細はこちらから。
ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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