2024年度の一般会計当初予算では、税収が約69.6兆円、国債発行などの公債金が約35.4兆円とされていた。公債依存度は31.5%であり、財政悪化は続いている。
結果論ではあるが、税収を正しく見積もることができていれば、当初予算の段階で公債金(つまり国債発行)を圧縮できたはずである。しかし、見積もりは保守的だったことから、結果的に2024年度一般会計補正予算案では、税収が約3.8兆円上振れた。
このように考えると、少なくともこの税収の上振れ3.8兆円は「取りすぎたから国民に返す」のではなく、見積もりが保守的すぎて必要以上に増やしてしまった借金を返す(国債発行を減らす)というのが自然だろう。
巧妙すぎる国債発行で市場のアラートを封じた
保守的な見積もりになっていたのは、税収だけではない。玉木氏が言うように、税外収入や既定経費の削減といった項目も同様である。
結果的に、約13.9兆円という大型の補正予算が策定されたのにもかかわらず、追加的な公債金(つまり国債発行)は約6.7兆円の増額にとどまった。
このことについて、大幅な財政出動でも「国債市場へのストレスを最小限に抑えることに成功した」と評価する見方もできる。
しかし、一定の財源の存在が前提となったことで必要以上に補正予算による財政出動が大きくなってしまった可能性や、国債市場にストレスを与えなかったことによって金利上昇という財政に対するアラートが発せられなかったことを考えると、中長期的には日本の財政にとって良かったのかどうか、疑問が残る。
国債発行が「巧妙すぎる」ことも、大型の補正予算の常態化につながっている。
特に、後者の金利上昇のアラートが発せられないことについては、国債管理政策が「巧妙すぎる」という「問題点」も影響している。
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