サントリーは欧州風?「同族経営」にこだわる理由 新社長の鳥井信宏氏に期待されることとは

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新浪氏も信宏氏のしつこさを、ここ2年ぐらいで実感するようになったという。「とにかく国内の現場をよく回る。ここ2年間とその前とでは動きが全然違う」。

最も悔いが残る記憶は「年初1000万ケース達成を目指していたザ・プレミアム・モルツが951万ケースで終わったこと」である。こうした粘り強さをはたで見ていた新浪氏は「(ローソン会長から)サントリー社長に就任してから10年目を迎える節目に鳥井(信宏氏)に任せてもいいと考えるようになり、佐治会長に相談した」。

親会社が非上場を貫く背景

サントリーHDは、親会社が非上場で、子会社が上場という極めてめずらしい「ハイブリッド・コーポレート・ガバナンス」を展開している。非上場のHDでは、創業後から創業一族である鳥井家と佐治家の直系が交代して社長を4代務めており、信宏氏がいずれサントリーHD社長に就任することは既定路線だった。

こうした中、2014年、新浪氏が佐治信忠社長(当時)から直接スカウトされ初の創業家以外の社長として迎えられたが、当時まだ48歳だった信宏氏がさらに経験を積むまでと見込まれていたのかもしれない。

かつて信忠氏(社長時代)にインタビューした際、「後継者についてどう考えているのですか」と聞いたことがある。

その時、同氏は「子どもがおりませんので、うちは私の代で終わり。従甥の信宏もおりますし……」と語った。この発言からも、創業がトップを務め、非上場を維持するのがサントリーの不文律となっていることがうかがえる。

信忠氏はまた、「酒の醸造には長い時間を要する。短期的な利益を要求される株式公開に馴染まない。酒屋で上場していないところは多い」「株主に商品の味を左右されたくない」とも語っていた。たしかに父の敬三氏も「ビール事業が軌道に乗ったのも非上場だったから」と語っていた。

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