サントリーは欧州風?「同族経営」にこだわる理由 新社長の鳥井信宏氏に期待されることとは
新浪氏の舌禍事件(45歳定年など)でサントリーブランドが揺れたことについて、「意図せずご迷惑をかけましたが、今回のトップ人事とは関係ない」と新浪氏は語り、「ノブ(信宏氏の愛称)が優しい言葉をかけて励ましてくれました。嬉しかった」と付け加えた。
すると、信宏氏が「現場は謝らないといけなかったので大変でした」とツッコミを入れる。話し方からすれば、大きな声で持論を語る新浪氏こそツッコミ担当のように見えるが、信宏氏は「これからはツッコませていただきますから」と言いたげだった。
信宏氏は、新浪氏が長所として褒めた「粘り強い」性格を自ら否定した。「私の短所は、しつこさが足りないところだ。まだまだ佐治会長のしつこさに追いついていない」。
「粘り強さ」と「しつこさ」
しつこさは、サントリーの伝統でもある。その最たる例がビール事業だ。45年間の赤字を覆して今も挑戦し続けている。
創業者の鳥井信治郎氏が一度諦めた事業に2代目社長の佐治敬三氏が再挑戦。そのとき、鳥井信治郎氏が佐治敬三氏にかけた言葉が、今やサントリーの創業精神となった「やってみなはれ」である。失敗をおそれることなく、新しい価値の創造をめざし、挑み続ける精神と行動を意味している。
信宏氏もビール事業には思い入れがある。「ザ・プレミアム・モルツ」の戦略部長として、モンドセレクションの最高金賞を3年連続で受賞している。
信宏氏は2009年4月にサントリーの持ち株会社体制への移行に伴い、HDの執行役員などを歴任後、サントリー食品インターナショナルの社長に就任。2016年にHDの副社長になったが、2022年に酒類販売を担う子会社サントリーの代表取締役に就任した。
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