まさに異例事態「公明党」国民民主にすり寄るなぜ 自民党案ではなく、国民民主案に「相乗り」

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5年前の参議院選では、公明党の高橋光男氏は50万3790票を獲得して当選を果たしているが、それには特殊な事情があった。この時、定数2で与野党が議席を分け合っていた広島選挙区で、自民党はベテランの溝手顕正氏に加えて新人の河井案里氏を擁立したのだ。

なんとか河井氏を当選させたい当時の安倍政権は、広島県内の公明票を河井氏に入れてもらう代償として、兵庫県内の自民票を公明党に差し出し、高橋氏は当選。

だが、自民党の加田裕之氏は46万6161票しか獲得できず、次点の立憲民主党の候補に3万1315票差まで迫られた。当時官房長官だった菅義偉元首相は、「ちょっと削りすぎたかな」と反省の意を周囲に漏らしたという。

次の参院選で選挙協力をすることになるのか

2025年の参議院選では自民党からの票はさほど望めない。とすれば、注目すべきは19万8941票を獲得した国民民主党で、公明党にとってかつては新進党(参議院では平成会)として行動を共にした仲間でもある。また兵庫県には非自民で結集した「連合・五党協議会」の歴史もある。

もっとも県内での立憲民主党と国民民主党との関係は良好で、5年前の参議院選でも、国民民主党は立憲民主党の公認候補を応援した。しかし今や国民民主党の立ち位置は、より与党に近くなった。衆議院で28議席を得て以来、自公との政策協議の機会は確実に増えている。

国民民主党は与党入りをしないまでも、政策実現のために与党とは近い関係を維持していくだろう。とすれば、選挙でも協力関係を結んでもおかしくない。

自民党が1強だった時代は徐々に去りつつある。もし各政党が政策を軸に動くなら、政治は大きく変わるはずだ。この度の公明党と国民民主党の法案の共同提出は、その端緒となりえるのか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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