中国「北戴河」、今は寂しきリゾート、閑散期も必要な維持管理
清末期、外国大使館のリゾート地として開発
国家機関の施設用地に比べて1割程度の敷地に、観光品を売る小さな店、民営のホテル、写真館、小さなレストラン、家庭的な旅館などの民間施設がある。
11月の中旬になると、北戴河で営業しているリゾート施設の多くは民間施設。国家機関のリゾート施設で営業しているのは4社だけだ。民間のリゾート施設に勤務する玉さんは、「1日に1人の観光客さえ来ないときもある。リゾート施設なのに寂しくてしかたがない」と言う。
玉さんは河南省にある観光大学を卒業した。彼女の勤務するリゾート施設は、北戴河でも著名な老虎石海岸にある。部屋からは海に浮かぶ日の出が見られ、遠くの半島の山々も一望できる。夜になると、波の響きが耳に心地よく聞こえてくる。
そんな施設でも、北戴河の冬は嫌われる。ここには、近代的な生活を象徴するケンタッキー・フライドチキンもなければ、華やかな娯楽施設もないからだ。
冬場は玄関を固く閉ざしたリゾート施設が多い。たまに門番が、犬と静かに散歩する姿が見られる程度だ。とにかく、春を迎える4月をただただ待っている。
そもそも北戴河は清の末期、列強の外国大使館などのリゾート施設として開発され、海外でも有名となった。北戴河のリゾート施設の多くは、1950年代に造られたものが残っている。国が直接土地を取得して資金を出して造ったもの以外に、一部のリゾート施設は既存の別荘を購入して拡張してきた。その中には、石炭鉱業部(省)が所有する中国石炭労働者リゾート施設があり、戦前の洋風別荘を通常の客室として使っているものもある。