中国「北戴河」、今は寂しきリゾート、閑散期も必要な維持管理

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 実は北戴河はこれまで数十年、夏都(サマーパレス)としての歴史を刻んできた。53年ごろから、夏になると中国共産党・中央政府(中共中央)の高級幹部が北戴河に集まり、さまざまな会談の場として使用してきたのだ。その際は現役の中央政府指導者だけではなく、引退した元幹部などもここに来て、療養施設として利用していたという。

国のリゾート施設に今も一般人は入れない

この歴史は2003年まで続く。その年に中共中央は、夏に北戴河を公務に使うことを禁止する。共産党、行政、全国人民代表大会、政治協商会議、人民解放軍はこれ以来、北戴河で仕事ができなくなった。北戴河での関係者の療養も厳しく取り締まられ、許可なく北戴河に行ってはいけないと規定されたのだ。これをもって、北戴河の歴史が変わる。

北戴河にあるリゾート施設は、各国家機関の福祉施設として使われるようになった。リゾート施設はそれぞれの国家機関に属し、赤字が出たら、国家機関から補填されている。

しかし、ここで暮らす北戴河の住民は、依然として国家機関のリゾート施設に一歩も踏み入ることはできないままだ。

(『中国経済周刊』12月5日号/李 鳳桃記者(北京) =週刊東洋経済2012年1月21日号)写真:北戴河区人民政府

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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