中国「北戴河」、今は寂しきリゾート、閑散期も必要な維持管理

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河北省秦皇島市の渤海湾に面した一角に、北戴河のリゾート地が広がる。北戴河の浜辺を歩いていると、有刺鉄線に囲まれたエリアに出くわす。「内部浴場、入るべからず」との表示板が掛けられ、一般人の立ち入りを阻んでいる。

そこは、中央政府や国有企業が保有するリゾート施設が100余りも建ち並ぶ場所。北戴河で最も風光明媚な南東部に林立し、木の生い茂った広々とした庭もあるぜいたくな造りが広がる。内部の施設やサービスを見れば、普通のホテルと大差はない。会議を開く部屋があり、食事もできる。囲碁やトランプをする娯楽室なども備わっている。

ただ、ここがにぎわうのは7月と8月の2カ月だけだ。1年のうち大半は閑散期になるが、その間もサービススタッフに給料を支払い、光熱費も膨大にかかる。施設維持費で毎年、数百万~数千万元もの赤字だ。

あるリゾート施設の保守点検担当者兼運転手の劉さんが語る。「冬の閑散期になっても、すべての仕事を粛々と続けなければならない。エレベーターの定期点検、芝生の手入れ、暖房だって切るわけにはいかない。暖房にスチームを通さないと、凍結し破裂してしまうからだ」。

毎年計上される膨大な赤字はどう補うのか。これはリゾート施設の所有主である各国家機関が補填することになる。しかし、直接リゾート費用としては補填できない。名目上はリゾート施設の拡張やリニューアルなどの修繕維持費として請求する。たとえば、正味の修繕維持費が500万元ならば、1000万元を申請して赤字補填に回す。あるリゾート施設の責任者はそう話してくれた。

北戴河の夏と冬の姿は、まったく違う世界だ。「夏は180人ものサービススタッフがここに寝起きするが、冬になると、20~30人の長期雇用の人だけになる」。劉さんは、毎年夏に新しいサービススタッフを募集するのだと教えてくれた。

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