実写化に物議【推しの子】ドラマが意外と好評な訳 ビジュアル再現度が全て…ではない!

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もちろん、これがすべての実写化における最適解ではないだろう。しかし少なくとも、現代の芸能界を舞台にした本作においては、原作のコンセプトを汲んだ表現として効果を発揮しているように見える。

推しの子
斉藤ミヤコ役の倉科カナ。シゴデキな女社長にはぴったりなキャスティングか(出所:【推しの子】ドラマ&映画公式)
推しの子
斉藤壱護役には、吉田鋼太郎が。原作とビジュアルは違えど、不思議としっくり来るキャスティングだ(出所:【推しの子】ドラマ&映画公式)

改変があっても違和感がない理由

また、ドラマの脚本はおおむね原作の流れに準じているが、構成や設定をドラマ仕様に再構築、改変している部分がある。「原作を変更?」と訝しむ方もいるかもしれないが、ドラマ版はこの改変が実に巧みであることにも触れておきたい。

特に脚本の手腕が光っていたのは、主人公・アクアたちが出演する劇中作品「東京ブレイド」の制作過程を描いた章。このドラマ版「東ブレ」編は、原作と比べて取り上げるエピソードやキャラクターを大幅に絞り、構成をシャープにしている。

変更された要素の1つとして、原作【推しの子】では人気漫画の“2.5次元舞台”だった「東ブレ」が、ドラマ版では“月9ドラマ”として描かれるという改変があった。これには複合的な事情があるだろうが、ドラマで描くエピソードを精査した結果、舞台作品であることの必要性が薄くなったことが考えられる。ドラマでは、原作やアニメのように「東ブレ」本編に多くの尺を割けないからだ。

一見すると不安にも思える改変だが、この脚色によって「東ブレ」編の背骨である「メディアミックスにおける脚本問題」や、主要キャラクターに起きる心情の変化など、その先の展開で欠かせないエピソードを丁寧に掘り下げることに成功している。

そのため原作読者から見ても、「東ブレ」のパッケージは変わったが、押さえてほしい場面は収まっているため満足度は高いという評価になる。

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