「2週間後に最初のデートに誘いました。いい感じのお店を頑張って探しましたよ。話をしていて僕は楽しかったし、向こうも楽しんでいる感があったので、帰りに手をつないでみました」
最初のデートの帰り道に手をつなぐ。なかなか大胆である。これも数々の失敗体験で身に付けた姿勢とテクニックなのだ。
様子を見ても、次は絶対にない
「過去を振り返って、『あのときもっと押せば付き合えたかもしれない』と思うシーンがたくさんあります。『焦ると嫌われるんじゃないか。次のデートのほうがいいのでは』などといろいろ考えて踏み込めませんでした。でも、大抵の場合は『次』はないんですよね。最初のデートである程度、踏み込んでみるしかないと、覚悟するようになりました」
大人の女性であれば賛成する意見だと思う。恋愛対象になりうるか否かは、一度でも2人きりで食事をすればわかる。いきなり肉体関係になるのは性急だとしても、手をつなぐくらいの意思表示はあったほうが話が早い。もちろん、会食は楽しいけれど触りたくも触られたくもない異性はいる。その場合は身体的な接触はさりげなく拒絶し、「あなたは友だちですよ」というメッセージを発すればいい。
1カ月後、恋人関係になった直樹さんと陽子さんは、出会いから数カ月経った年末には婚約をし、お互いの親に会いに行った。先月に結婚し、来年にはマンションを購入する予定だ。まさにとんとん拍子である。
直樹さんは今、食生活や服装だけでなく、食器の洗い方や食事のマナーも指導され、小遣いは月1万円という結婚生活に突入している。食後に喫茶店に入ることも躊躇する小遣い額だ。直樹さん、大丈夫なのか。
「昼は手作り弁当ですから、ほとんどおカネを使わなくなりました。会社の飲み会に参加したり買い物をするときは、申告制でおカネをもらえます(笑)。『ちゃんと管理したいのでレシートはもらってきてね』と命じられていますけどね。僕の給料で生活が回るようにして、妻の給料は使わずに貯金しています」
陽子さんは以前に大けがをしたことがあり、後遺症のために立ち仕事の看護師をずっと続けられるかはわからない。いずれ産まれてくる子どもの教育費や住宅ローンの返済を考えると、「締められるところは締める」のが正解なのだろう。夫には節約を強いて、自分だけがぜいたくをしているわけではない。直樹さんも納得したうえでの管理なのだ。
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