新年相場に備えよう!「2025年注目テーマ」総予習 "押さえるべき要点"を永濱エコノミストが解説

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

Q アメリカに連動して日本もインフレに?

日本固有の事情によるインフレは起こりにくい。人口減少や高齢化などから、内需が急速に増えて物価を押し上げるデマンドプル型インフレの要因が生じにくいためだ。しかし、海外発のコストプッシュ型インフレは起こりうる。輸入物価が上昇すれば、物やサービスの値段が上がる方向に動く。

最近の物価高を円安だけで説明する議論があるが、誤りだ。エネルギーにせよ食料にせよ、輸入品はドルなど現地通貨表示でも値上がりしており、円安でなくても輸入物価には上昇圧力が働いてきた。トランプ氏の対米輸出関税が発動されれば、コストプッシュ型のインフレ圧力がかかりそうだ。

アメリカでインフレが急加速すれば、連邦準備制度理事会(FRB)は連続利下げどころか利上げ再開との思惑が広がり、日米金利差拡大観測から円安・ドル高に振れる可能性がある。円安が進行すれば、日本の輸入物価も押し上げられることになろう。

1%まで利上げしたい日銀

Q 日銀は今後も金利引き上げを続けるか?

景気を刺激するでも抑制するでもない「中立金利」という考え方がある。日銀が想定する中立金利は最低で1%程度と推察され、今年3月のマイナス金利解除に始まる金融正常化路線が来年も続きそうだ。

日銀は明らかに円安抑制を意識しているが、日銀の政策目標は持続的な物価上昇率2%。「円安だから利上げして円高にする」とは口が裂けても言えない。ステルス為替ターゲット政策だ。

一方、トランプ関税が景気に急ブレーキをかける可能性がある。本音では、日銀は早期に政策金利を1%まで上げたいのだろう。最速で、来年末までに1%まで利上げする可能性がある。日米の金利差が縮小すれば、為替は円高に動く。来年末のレートは1ドル=140円台がメインシナリオだ。

Q 国内景気や物価、賃金はどうなる?

最大のリスク要因はトランプ関税だ。トランプ氏は第1次政権下の2018年3月、自動車部品や電気製品などを対象に対中関税強化をぶち上げ、中国が米国製品に報復関税を課すなど貿易対立が激化。そのあおりで日本は11月から景気後退局面に入った経緯がある。

前回は中国経済に勢いがあったが、今の中国は景気対策を連発しても景気停滞から抜け出せないでいる。アメリカの高関税政策が中国や日本を巻き込み、世界景気が急速に冷え込むリスクがある。日本では、追加関税の状況次第で景気後退が始まる可能性もある。

次ページとはいえ、暗い話ばかりではない
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事