斎藤氏再選が示す「ポピュリズム到来」日本にも 「大衆迎合」と片付けられない潮流、ネットと結びつく
こうした現象はいわゆるポピュリズムの概念にあてはまるだろう。
ポピュリズムは一般的には、既存の政治権力やエリート層を批判し、現状の変革を人々に訴えて改革を目指す運動とされている。人気を得ることを優先する「大衆迎合主義」ともいわれるが、それほど単純で軽薄な概念ではない。
欧米諸国ではすでに大きな政治的潮流とみなされているが、日本ではこれまでは目立った動きはないとされていた。
今年、日本で行われた上記の3つの選挙は、当事者がどこまで意識しているかは別にして、ポピュリズム的運動がネット空間と結びついた初めてのケースといえるだろう。その結果、これまで政治的に軽視されていた若者はじめヘビーなネットユーザーらが大量に動員され、選挙結果を大きく動かしたのだ。
民主主義の「多様な意見や議論」はどこへ
こうした変化を手放しで歓迎することはできない。商業主義に徹するプラットフォームの作ったシステムの中で国民が踊らされていることは間違いない。
しかも、流される情報はフェイクニュースと呼ばれるような信頼性の低いものも少なくないし、アルゴリズムによって偏ったものになっている。多様な意見や議論を前提とする民主主義の観点から言えば、極めて不健全で不健康なものだ。
それはネットとポピュリズムの融合した選挙の典型例でもあるアメリカ大統領選挙を見れば明らかである。
しかし、少なくとも当分の間、この流れを止めることは難しいだろう。3つの選挙を通じて、ネット空間をうまく利用すれば成果を上げることが実証された。
今後、まねごとをする政党や候補者が増えることは間違いないだろう。特に来年の参院選は、各党、各候補がこぞってSNSやYouTubeなどを利用した選挙戦を展開するだろう。それが選挙そのもの、さらには民主主義を思わぬ方向にゆがめてしまう可能性は高い。
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