「森且行」SMAP脱退→"日本一"→ケガ、続く挑戦 「一生車いす生活になるかも」と診断された
仲間たちに支えられながら、新しい道を選んだ森。その瞬間、彼らとの絆は一層深まった。最後の日、一緒に食べたハヤシライス――友情と新たな決意を分かち合う、忘れられない特別な一皿。
観客席から飛んだ冷たいヤジ
SMAP脱退から1年、1997年7月6日――ついに森且行のデビュー戦の日が訪れた。
川口オートレース場には3万5000人もの観客が詰めかけ、無数の視線が彼の背中に突き刺さる。全身を包み込むような緊張感が押し寄せる中、森は静かに自分に言い聞かせた。
「これだけ応援してくれている人がいるんだ。絶対に勝たなきゃ」
エンジンの轟音が響き渡り、スタートの瞬間、アクセルを一気にひねった。ライバルたちを一瞬で振り切り、そのままゴールラインを駆け抜けた。デビュー戦、堂々の1着だった。
「やっとオートレーサーとしての一歩を刻めた!」
その瞬間、胸に込み上げた感情は、長年の努力がすべて報われたように感じられた。
しかし、これが森の挑戦の本当の始まりにすぎなかった。
元アイドルという肩書は重くのしかかり、観客席からは冷たいヤジが飛び交い、その一言一言が胸に鋭く突き刺さる。
「『死ね!』なんて言われたこともありましたよ。みんな、アイドルが遊び半分で来たと思ってたんでしょうね」
その言葉は痛烈だったが、森は「速くなること、それだけが自分のすべてだ」と信じて全力で走り続けた。少しずつ努力は実を結び、G1やG2のタイトルを手にする頃には、周囲の反応も変わっていった。
「新人王を取った頃から、ヤジも少なくなっていった」。それでも、心はまだ満たされていなかった。
「SGを取らなければ、本当の意味で認められない」――そう自らに言い聞かせ、さらに高みを目指した。
しかし、20年以上もの間、その目標に手が届くことはなかった。焦りが胸を締め付ける。
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