忙しい職場ほど「考えない人」が増える驚きの理由 本人と組織の「ラクしたい」が生んだ悲惨な結果

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実際に効率化されると、彼らに時間的な余裕が生まれます。すると、彼らに求められるものは当然ながら「思考」になります。問題解決すること、工夫すること、新しい何かを発案すること、いわゆる「AIにはできないこと」がいま以上に求められることになります。

しかし、「思考」はパワーがいる面倒な営みです。答えが出るのかどうかもわからないことに時間を使うなら、「とりあえずやっておけば間違うことはない」目の前の仕事を忙しそうにこなしているほうが(ある意味で)ラクなのです。

本人は決して口にはしませんが、実は忙しく作業をしているスタイルをあえて選んでいるビジネスパーソンもたくさんいることを私はこの仕事を通じて知りました。

このような人材が「自分で考える社員」になるためには、組織側が強制的に時間的余裕を提供し、作業ではなく思考の結果で人材を評価すること以外に方法はありません。

「ラク」を選ぶ組織から「考える社員」は生まれない

多くの企業が「自分で考えられない社員が多い」という問題を抱えていますが、その原因は「個々の社員のスキル」であると認識しています。しかし、企業自体が、従業員たちに向けて次のようなメッセージを暗に発している可能性はないでしょうか。

「自分で考える必要などないから、とにかく作業だけ忙しそうにやっていてください」

これはある意味では、従業員たちにラクなほうを選択させているということ。つまり、その企業全体として、ラクなほうを選択して経営しているということです。

従業員が思考停止する環境を自ら作っておいて、その従業員に思考力強化の研修を、成果が出ないと悩みながら続けているのはやはり矛盾していると思います。そんな企業が少しでも減ることを願い、私はこれからも正しいアプローチを提案し続けていきます。

「考える」を必要とするなら、考える時間と精神的余裕を用意してください。

それをしないなら、「考える」を求めることは諦めてください。

今回のテーマは、すべてのビジネスパーソンにこの二者択一を求める話です。それぞれが自分の意思で、納得いく選択をしてほしいと思っています。

深沢 真太郎 BMコンサルティング代表取締役、ビジネス数学教育家

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ふかさわ しんたろう / Shintaro Fukasawa

一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。ビジネス数学を提唱する人材教育のプロフェショナル。公益財団法人日本数学検定協会主催「ビジネス数学検定」1級(AAA)は日本最上位。これまでに指導した人数は、延べ7000人。「ビジネス数学」の第一人者として確固たる地位を築く。企業研修のほか学生やプロスポーツ選手などの教育研修にも登壇。数学的な人材の育成に力を入れている。著書に『「仕事」に使える数学』(ダイヤモンド社)、『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など。2018年には小説家としてデビュー作『論理ガール』(実務教育出版)を上梓。

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