闇バイト描く「3000万」NHKで異色作なぜ誕生? 安達祐実はじめ、キャスティングも絶妙すぎる

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金を警察に届けるという選択肢も脳裏をよぎるが、タイミングを逸するばかりで、義光と祐子は結局、一部を使ってしまう。ごまかせるわけもなく、犯罪組織や警察からじわじわと追い詰められ、平凡だった生活が大きく崩壊していく。

お金を返そうとしてなかなか返せないドタバタ喜劇かと思ったら、洒落にならない深刻さで、祐子と義光は常に選択を間違えて、どんどん立場を悪くする。

とくに祐子は、追っ手を湖に突き落として殺人容疑者になる可能性まで作った揚げ句、使ったお金の返済のために闇バイトに加担することになって、罪に罪を重ねていく。

夫の夢が破れて家計も楽でなく、コールセンターでは顧客からも上司からもハラスメントを受けている祐子に同情の余地はあるものの、彼女はいい大人なのであり、子を持つ親なのである。でもそれが、貧困が増加する一方の現代の実情であるとしたら……。

3000万
青木崇高が夢追うミュージシャンの夫・義光を演じる(画像:NHK『3000万』公式サイトより)

「闇バイト」にうっかり巻き込まれる小市民側を描く

『3000万』というちょっと奇妙なタイトルのドラマは、現実とあまりにリンクしていた。

この頃、やたらと闇バイトの報道がされているが、闇バイトとは、警察のサイトによれば「SNSやインターネット掲示板などで、短時間で高収入が得られるなど甘い言葉で募集しています。応募してしまうと、詐欺の受け子や出し子、強盗の実行犯など、犯罪組織の手先として利用され犯罪者となってしまいます」というもの。

「やめたいと思っても、応募のときに送った身分証明書から『家に行く』『家族に危害を加える』と犯罪組織から脅されて逮捕されるまでやめられません。逮捕されたあとに待ち受けるのは懲役や被害者への損害賠償です。もちろん犯罪グループは助けてくれません。闇バイトは使い捨てです」と関わらないよう強く警告している。

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