ジャパネット2代目に聞く「地方企業の生きる道」 通販に次ぐ柱としてスポーツ・地域創生に注力
──ジャパネットが中小企業から中堅企業へと順調に成長してきた要因をどう考えていますか。
父が経営していた頃の当社は、父がすべての事業を掌握する「文鎮型」の組織だった。中小企業の頃はそれでもよかったが、組織の規模が拡大するとトップダウンでは長続きしないと感じていた。また、私には父ほどのカリスマ性がない分、社員に任せる必要があった。そこでホールディングス制を導入し、権限を各社の社長と役員に8割方持たせ、私は修正にだけ関与する関係性を構築した。
──創業者からの事業承継もうまくいったように映ります。
通常は創業者が会長として組織に残ることが多いが、父は完全に私にバトンを渡してくれた。スタジアムの構想を最初に話したときも「やりすぎやろ」とは言われたが、その後はずっと応援してくれている。母も「失敗したらそれも旭人の実力なんだから」と後押ししてくれた。
事業承継の問題で思うのは、子どもにはさみを持たせたときに心配ですぐ取り上げる親なのか、取り上げずに見守る親なのか、ということ。後者なら会社に残っていても害は少ないと思う。父の場合は前者だという自覚が本人にあったのではないか。
「正しいことをする独裁」のほうがいい
──創業以来、非上場を貫いていますが、その理由は?
非上場を貫く、というより上場する理由がない。一般的にいわれる上場のメリットには知名度・信頼度の向上、資金調達、ガバナンス強化の3点があるが、長年のテレビ通販事業で知名度はある。資金調達も当面はデット(銀行借り入れや社債発行など)で賄える。
ガバナンスについては、月に1、2回しか来ない社外取締役に説明するためのパワーを使うよりも、自分たちが正しいと思うことに振り向けたい。あえて極端な言い方をすると「正しいことをする独裁」のほうが絶対にいいと思っている。
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