瀬戸際に立つ太陽電池産業、欧州債務危機が飛び火し軒並み大赤字

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エネルギー問題の救世主──。そう見込まれていた太陽電池が一転して窮地に追い込まれている。

200億円超の赤字

2011年春に宮崎県に世界最大級の工場を新設した昭和シェル石油。「大きなジャンプをしないと世界の競争に勝ち残れない」(香藤繁常・昭和シェル石油会長)と、1000億円を投じたが、のっけから壁にぶち当たっている。

同社の太陽電池関連事業の営業損益は11年1~9月で196億円の赤字。もともと11年は立ち上げ費用等で100億円規模の赤字を見込んでいたが、ここまで膨らむのは会社にとっても想定外。11年の年間赤字額は二百数十億円に膨らむ公算が大きい。

国内最大手シャープの同事業も今期は160億円の赤字に陥る見通し。前期は21億円の黒字だった。「国内で集中生産するという従来モデルは、今の環境を考えるとほとんど無理だ」と、片山幹雄・シャープ社長は吐露する。

業界では「手堅く稼いでいる」との評判があった京セラも11年7~9月の太陽電池事業は一転して営業赤字にあえいだ。市況悪化をかんがみ、12年3月期の生産計画も80万キロワットから70万キロワット程度へ下方修正した。

総崩れの原因は円高もあるが、それ以上に響いているのは欧州債務問題だ。住宅など個人向けが9割を占める日本とは違い、欧州ではメガソーラーやオフィス、公共施設などの大型産業用が需要の8割を占める。発注側は大きな投資を賄うため資金調達を行うが、「欧州債務問題で銀行の融資姿勢が慎重になり、おカネを工面できず設置が滞っている」(大和証券キャピタル・マーケッツの加治大器・シニアアナリスト)。

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