急騰した卵価格「物価の優等生」は、今は昔か? 生食が可能な日本の卵は輸出も伸びている

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では、価格は今後どう推移するのだろうか。

日本養鶏協会の「鶏卵の需給見通し」によると、2024年下半期は「秋の月見商戦等や、例年通り冬のクリスマスや鍋物により需要が高まり価格は高値で推移するとの見方もある」

とする一方で

「鳥インフルエンザによる供給リスクの懸念から、食品加工産業・外食産業における需要が減少し、鶏卵価格の上昇傾向が止まる可能性もある」との見方も示した。

いずれにしても、上昇か高止まりの予想となり、価格の急低下は見込みづらい状況だ。

高くても国産の卵は香港で人気

国内はこうした状況ではあるが、国産鶏卵の輸出が近年急増していることをご存じだろうか。

鶏卵の輸出は2019年に8651トン(22億1000万円)だったのが、2022年には3万0633トン(85億4000万円)にまで膨れ上がった。2023年は鳥インフルエンザの影響で1万8672トン(69億9000万円)まで落ち込んだが、2024年は8月までの前年同期で数量20%増と巻き返している。

輸出先のシェアは香港が輸出量98.3%、輸出額95.6%を占める(2023年)。街には卵かけご飯をはじめ卵を使う店が急増し、日本料理店は1500軒近くもあるという(香港政府調べ)。

厳しい衛生管理で生食が可能な日本の卵。流通量では圧倒的に多く安い中国産(市場シェア6割超)ではなく、高価な日本産の卵を支持する店が多いという。

日本産の卵の需要は高まっているため、価格が落ち着くには供給量の安定確保が必要だろう。

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログも執筆。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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