止まらない鳥インフル、「卵ショック」再来の恐れ 1月の発生件数、殺処分は過去最高のスピード

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
鳥インフルの感染拡大で鶏卵の供給懸念が生じている。企業も値上げや卵メニュー休売など、厳しい対応を迫られそうだ(撮影:今井康一)

2年前の悪夢の再来か――。鳥インフルエンザが猛威をふるっている。

鳥インフルは例年11月頃に鶏やアヒルなど家畜の鳥で感染が報告され、翌年の3〜5月頃に終息する。今シーズンは2024年10月17日に過去最速で国内1例目を確認。年明けに急増し、1月24日時点で43事例が発生。約811万羽が殺処分の対象となっている(農林水産省調べ)。

1月としては過去に例のない大量発生で、農水省の江藤拓大臣は、1月20日の「鳥インフルエンザ防疫対策緊急全国会議」において「緊急事態だ。これ以上の広がりを許すわけにはいかない。現場の皆様のより一層の努力が問われている」と危機感を高めた。

記憶に新しいのは2022~2023年のシーズンだ。前代未聞の水準で感染が拡大し、シーズン計で84事例が発生、過去最高の1771万羽が殺処分された。

今シーズンはこれに匹敵するペースだ。1月単月では発生件数は27事例、殺処分は535万羽と2023年を上回るスピードで増加中だ(1月24日時点)。

今年も卵不足に警戒か

今後懸念されるのは鶏卵の供給不足と価格高騰だ。

かつて「物価の優等生」といわれた鶏卵だが、2023年は需給が逼迫し相場が高騰した。東京市場におけるMサイズ1キロ当たりの卸売価格は、同年4月に350円を記録。2022年の4月の211円と比べて異例の高値だった(JA全農たまご調べ)。

今年も1月24日の卸売価格は285円と、1月6日の225円から大幅に上昇。鳥インフルの影響が価格にも表れ始めている。1月21日、農水省は鶏卵供給量に一部不足感が生じ始めているとして、原料に卵を使用するメーカーなどへ協力依頼を発出。凍結した液卵の在庫の活用などを要請した。

現在のペースで感染拡大が続けば、一昨年のようにスーパーの棚から卵が消えたり、大きく値段が上がったりするなど、消費者の生活へダイレクトに影響を及ぼす可能性が高い。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事