止まらない鳥インフル、「卵ショック」再来の恐れ 1月の発生件数、殺処分は過去最高のスピード

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

メーカー側の影響も大きい。食品大手のキユーピーは、主力の家庭用・業務用マヨネーズや業務用の卵加工品など、多くの製品の原料に鶏卵を用いている。そのため相場が業績を大きく左右する。

実際、2023年11月期の営業利益は、家庭用マヨネーズやドレッシングなどを販売する「市販用セグメント」で前期比26%減の99億円、「業務用セグメント」で同40%減の41億円となり、全社でも同22%減の196億円と大打撃を受けた。

今2025年11月期、キユーピーは主な原料費の高騰による影響を前期比で16億円増と見込んでいる。だが「足元では、想定していた鳥インフルの発生数を上回るペース」(IR担当)という。

このまま鳥インフルが拡大すれば、期初計画を超過するコストアップが生じかねず、今後、マヨネーズなど主力調味料の追加値上げに踏み切る可能性もある。

価格上昇で「卵離れ」→価格下落の懸念も

鶏卵価格の変動が、生産者側に与える影響も懸念される。

2023年は前半に価格が大幅に上昇したが、後半は回復に向かった。ところが、高い価格を嫌った消費者の需要はなかなか戻らず、卸売価格が大きく下落。2024年1月には180円まで低下した(東京市場、Mサイズ1キロ当たり)。

配合飼料や光熱費などが上昇している中、卸売価格が下がりすぎれば、今度は生産者側の経営環境も厳しくなる。

今後、鳥インフルの感染拡大を抑え、鶏卵供給の危機を乗り越えられるのか。先行き不透明な状況に不安が募るばかりだ。

田口 遥 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たぐち はるか / Haruka Taguchi

飲料・食品業界を担当。岩手県花巻市出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修了。教育格差や社会保障に関心。映画とお酒が好き。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事