ノーベル物理学賞に「AI研究者」の選出で波紋 AIと物理学の関係とは? 物理学界隈からは賛否両論

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これらの研究は、現代のChatGPTやStable Diffusionのような、生成AIを構成する高度なネットワークに比べればはるかに初歩的で単純なものだが、2人によって生み出されたアイデアが、いまの生成AI研究の出発点になったのだ。

物理学とAIの関係

ところが、一部の物理学者などからは、この2人の業績はノーベル物理学賞の対象とは言えないと主張する声もあり、ソーシャルメディアなどで議論がわき起こっている。

例えば、インペリアル・カレッジ・ロンドンの宇宙物理学者ジョナサン・プリチャード氏は、Xへの投稿で「言葉も出ない。私も機械学習や人工ニューラルネットワークは好きだが、これが物理学における発見だとは思えない。きっとノーベル賞はAIの熱気にやられてしまったのだろう」と述べた。

また、ドイツ・ミュンヘン数理哲学センターの物理学者ザビーネ・ホッセンフェルダー氏は、「年に1度のノーベル賞発表の日は、物理学とそれを研究する者にとって、スポットライトを浴びる貴重な機会だ。それは誰かが身内や知り合いに物理学者がいることを思い出し、その年のノーベル賞がどんなものなのかを教えてもらいに行くかもしれない日だ。しかし、今年はそうではない」とし「2人の業績はコンピューター科学の分野に属する」ものだと述べている。

受賞者本人たちもまた、自分たちが賞を受け取るとは思っていなかったようだ。ヒントン氏は、受賞の知らせを受けたときは「愕然とした」と語っている。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事