KDDIが"デュアル5G戦略"で手にした大きな成果 通信品質で国内首位に立った背景に2つの要因

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もう1つの要因は、KDDIの周波数帯運用にある。前田氏は高評価の要因を「当社のデュアル5G戦略が功を奏した結果」と説明した。

デュアル5G戦略とは、既存の4G周波数を5Gに転用する4G転用周波数と、新たに割り当てられたサブ6の周波数帯を組み合わせて使用する戦略だ。

前田氏は「既存の周波数を用いた転用周波数の5Gとその上のサブ6のデュアル5Gで展開しており、しかも業界最多のサブ6基地局数で高密度に打っている。このデュアルの5Gが今の時点で構築できているのはKDDIだけ」と付け加えた。

KDDIやソフトバンクは図の左側のアプローチ。ドコモや楽天モバイルが取る右のアプローチに比べ、エリアを高密度で設計できる(筆者撮影)

前田氏は続けて「転用周波数の5Gがベースにあるので、サブ6を高密度に打つことができる」と述べ、この戦略が高品質な5Gエリアの効率的な構築につながったことを強調した。

興味深いのは、業界最大手のNTTドコモが、なぜこの競争で出遅れたように見えるのかという点だ。KDDIの観察によれば、その理由は5Gネットワークの構築アプローチの違いにあるという。

KDDIの西村朋浩エリア企画室長は「ドコモさんはサブ6から5Gエリアを展開されているように見える」と述べている。これに対し、KDDIとソフトバンクは4G転用周波数を先行させる戦略を取ったという。

西村氏は「サブ6のみでエリアをカバーしようとすると、どうしても薄く広くなってしまい、速度低下や品質劣化につながる可能性がある」と分析する。一方、KDDIの戦略では4G転用周波数で基盤を作り、その上にサブ6を効率的に展開できるため、より高品質なエリア構築ができたというのだ。

KDDIはサブ6周波数帯の基地局数で他社をリードする(筆者撮影)

通信品質向上がもたらす体験の変化

通信品質の向上は、ユーザーの日常的なスマートフォン利用にどのような変化をもたらすのか。KDDIは特に動画視聴とオンラインゲームの体験向上を強調している。

サブ6の展開が進んだことで、20Mbps以上の通信速度を確保できるエリアが95%まで拡大した。外出先でも高画質な動画の読み込みが早くなり、動画ストリーミングサービスを利用しやすくなるということだ。

オンラインゲームなどで重要となる通信の応答速度(レイテンシー)も改善されている。KDDIの説明では、30ミリ秒以下のレイテンシーを確保できるエリアが92%に達したという。

Web閲覧では差が出づらいが、動画再生やゲームで通信品質の差を感じられる(筆者撮影)

KDDIはこれらの改善効果を、実機によるデモンストレーションで示した。動画のダウンロード時間の短縮や、ソーシャルSNSのゲームのキャラクターの動きがよりスムーズになる様子が確認できた。

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