ミニ新型EV「エースマン」温故知新デザイン進化論 つねに新しいスタイルであり続ける4つの意識
エースマンは、冒頭に記したとおり、全長4mそこそこのコンパクトサイズ。それでいてドアは4枚あり、ホイールベースは2605mmと長い。なので、前後席の空間もしっかり確保されている。街中で使いやすいサイズとブランドが強調するとおり、市場の要求にしっかり応えたプロダクトである。
「ミニ・エースマンは都市での使用にぴったりフィットします。まさに最初のミニの持っていた特長で、それを電動のクロスオーバーという現代的なカタチで表現したのです」
クルマに乗る人はみな感じていると思うが、昨今、車体の大型化の傾向が著しい。ハイルマー氏の発言に出てくるオリジナル・ミニは、多くの人が手に入れやすい小型車として開発され、車体は全長3m、全幅1.4mだった。
さすがにオリジナル・ミニは、今は2シーターと捉えたほうがいいサイズではあるが、それでも大型化が進んでいる今のクルマは扱いにくいと感じている都市生活者は少なくないのではないだろうか(大型化する最大の理由は、年を追うごとにきびしくなっている衝突安全基準をクリアするためという)。そんななかで、エースマンが“コンパクト化”と原点回帰のようなことをうたうのが、とても興味深い。
コンパクト化+αの価値創出
ただ、サイズのコンパクト化では“商品性が足りない”と考えたのだろう。エースマンは、フェンダーを強調することで、走りがよさそうな印象を強調。同時に内装デザインを凝ったものにしている。それはドアを開けると驚くほどだ。
「今回はじめて、デザイナーはいつもと違ったことに挑戦したんです。通常であれば最初にスケッチを描きますが、エースマンのインテリアでは、まず考えたんですね。たとえば”夜のドライブでどんな体験をしてもらえるといいんだろう”って」
それを象徴しているのが、かなり凝った車内の照明だろう。ミニ・カントリーマンで始まった、車内各所に照明を当てるというコンセプトがさらに推し進められているのだ。選ぶドライブモードに応じて照明の色がダッシュボード、ドア内張り、さらにスライディングルーフまわりまで投影され、幻想的な印象すらある。
同時に、「3Dマテリアル」とハイルマー氏が呼ぶ、テキスタイル(一般的に布や織物などの素材や柄などを表す言葉)の使用範囲を大胆に拡大。ミニ・エースマンではダッシュボード全体を覆う。
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