ミニ新型EV「エースマン」温故知新デザイン進化論 つねに新しいスタイルであり続ける4つの意識
「プロジェクトが社内で走り出したのは、4~5年前で、まったく新しいミニのファミリーを作るのが目的でした。ブランドとして確立しているミニ・クーパーと、ファミリーカーとしても使える機能性の高いミニ・カントリーマンの間に入るモデルで、クルマにライフスタイル的な要素を求めている人を満足させられるものがいいのではないか、って考えが出てきたんです」
コペンハーゲンでのインタビューは、国立海洋博物館で行われた。そこのカフェでコーヒーを手に、ハイルマー氏は上記のように説明する。
エースマンの特徴は、なめらかなボディ面のつくりにある。キャラクターラインは省略されていて、全体としてはシンプル。「新世代」と表現される、新型ミニ・カントリーマンと新型ミニ・クーパーの系譜につらなるデザインだ。
ヘッドランプの輪郭、グリルやフェンダーの造型、タイヤハウスまわりの黒いモールドなどは新しい。”ホーンチ”(臀部の意)とデザイナーが呼ぶ、リアフェンダーまわりの造型は、リアコンビネーションランプの位置とともに、従来とまったく違うデザインであることがうかがい知れる。
それでいて、見る人が見れば、ひと目でミニとわかる。
なぜ、ミニから斬新な発想が生まれ続けるのか?
2001年にBMW傘下のブランドとして、新しいスタートを切って以来、よくもまあ、“手札”がなくならないものだ。その疑問についてハイルマー氏は、「過去にこだわっていないからだ」とする。
「今回のエースマンも、(1959年にBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)が発表した)オリジナル・ミニのイメージを意識しています。もちろん、サイズは大きくなっているし、SUV的な要素を盛り込んでいるので、同じとは言いませんが、重要なのはコンセプトです」
つまり、エースマンをどのようなモデルにしようとしたか。その考え方に注目してほしい、とハイルマー氏は言う。
「私は、オリジナル・ミニの設計者であるサー・アレック・イシゴニスが今もミニのプロジェクトに携わっていたら、どんなふうにモデルチェンジをしていくだろう、と問題提起し、それにしたがって、デザインチームが出した答えが、今回のエースマンです」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら