10.27総選挙後、日経平均が上昇するとは限らない 上値余地は限られ、下落リスクも消えていない
衆議院選挙後の日経平均株価の推移をみてきたが、私が日経平均株価の上値が限定的であり、下落リスクがあるとみているのは、冒頭でふれたとおり、日米金利差縮小による円高の進行に加えて、米国市場でも企業業績の増益率鈍化が予想され、株価下落リスクが払拭できないからだ。
日銀の利上げ姿勢は不変、再度円高の進行も
石破首相は10月2日に首相官邸で日本銀行の植田和男総裁と面会後、「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」との認識を示し、「これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展することを期待している」と述べた。
この石破首相の異例とも言える発言に加え、9月雇用統計の結果を受けアメリカの大幅利下げ観測が後退したこともあり、ドル円相場は17日に一時1ドル=150円台をつけた。
すでに財務省の三村淳財務官が7日に「投機的な動きも含めて、為替市場の動向は緊張感を持って注視する」と述べたことなどが市場に伝わっている。同財務官は18日にも、為替市場について「投機的な動きも含めて市場の動向を高い緊張感を持って注視していきたい」「やや一方向に、あるいは急速な動きもみられると認識をしている」などと牽制発言をしており、政府・日銀は150円を大きく超える円安は望んでいないだろう。
実際、日銀も9月19~20日の金融政策決定会合では「市場は引き続き不安定であることなどを理由に金融政策の据え置きを決めた。同様の理由で10月30~31日会合での据え置きの可能性も高そうだ。
しかし、その次の会合である12月18~19日か、次の会合(2025年1月23~24日)の日銀政策決定会合で追加利上げの決定がなされる可能性が高いとみる市場関係者は少なくない。もしドル円相場が150円を超える水準が続くようだと利上げを前倒ししてくることも十分考えられる。
一方、アメリカでは9月17~18日のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.5%の大幅利下げを決定したが、メンバーの政策金利見通し(ドットチャート)や、ジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の「利下げを急がない」との発言などから、足元ではドル安は回避されている。
経済指標が好調なことから、今後一度に0.50%の追加利下げをする可能性はなくなった。それでも市場参加者は、11月6~7日、12月17~18日と2回連続で0.25%の利下げをすることが濃厚とみている。
このため、日米金利差縮小は確実に進むはずだ。ここ約1カ月間、想定以上に為替は乱高下しながら円安となっているが、今後は再び円高方向へと進み、日本株に逆風となりそうだ。
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