米大統領選で注目「ふたつのジェンダーギャップ」 ハリスとトランプのどちらに有利に働くのか
しかし、バイデンであっても、最終的には現在のハリスと同じような数字になっていたかもしれません。というのも、選挙戦が本格化したら、やはりトランプ嫌いの女性や人種マイノリティは目立ってきたと想像されるためです。ただ、ちょうど、大統領選が盛り上がってきたときにハリスが大統領候補になったので、人種マイノリティや若者や女性がハリスの支持に回っているように見えているのは間違いないと思います。
「トランプは嫌」という共和党支持者も、いるにはいる
――共和党の中からもハリス支持の声が上がっていますが、それは、共和党の分裂を意味するのでしょうか、それとも、もともと民主党候補に投票する可能性がある人たちが声を上げただけなのでしょうか?
前嶋氏 後者です。共和党の中にもトランプが嫌だと思っている人はいます。アメリカ国民の3割弱が共和党支持です。民主党は国民の3割強が支持しています。
無党派層は全体の3割か4割程度ですが、「中間層」では全くなく、無党派層の中は、3分の1ずつ、共和党寄りの層(lean Republican)、民主党寄りの層(lean Democrat)、全くの無党派と分かれています。だからアメリカ国民の4割ぐらいが「共和党支持+共和党寄り」です。そのなかにはトランプが嫌だという人はいます。
アメリカの場合、党派性が強くなればなるほど選挙に行きます。無党派層の中の無党派は全く選挙に行きません。かつては「レーガンデモクラット」のような民主党支持者が共和党候補に入れたり、その逆もありましたが、現在はその可能性は極めて少ないです。
無党派は選挙に行く可能性が低いのですが、それでも共和党寄りは共和党候補に、民主党寄りは民主党候補に、投票所に連れていけば入れます。無党派の共和党寄りが民主党候補に入れるケースは極めてまれです。その逆もそうです。
ただ、トランプの場合、これまでの共和党の主流だった人たち=あえていえば残党といってもいいのですが=からは強い反発があります。その人たちはトランプの外交政策に反対であるニッキー・ヘイリーを応援した人たち、あるいは反トランプの保守系団体「リンカン・プロジェクト」の人たちです。
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