米大統領選で注目「ふたつのジェンダーギャップ」 ハリスとトランプのどちらに有利に働くのか

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近年のアメリカの選挙では、ジェンダーギャップというとふたつの意味があります。ひとつは、大統領選挙において、女性は共和党候補よりも民主党候補の方に10から15ポイント多く投票するという傾向があります。大きな差で明らかな民主党寄りであることです。

ただ、撤退前の今年の選挙ではバイデンの女性からの支持はトランプに比べると8ポイント程度高く、やはり大きかったのですが、出口調査で15ポイントもトランプに上回っていた前回の2020年選挙に比べると、限られていました。バイデンからハリスへの禅譲を機にジェンダーギャップも戻ってきました。トランプとの差は15ポイント以上の調査が多く、2020年のトランプとバイデンとの差まで戻っただけでなく、女性ということもあってさらに数字は上積みとなっています。

もうひとつのジェンダーギャップは「投票率」

もうひとつのジェンダーギャップは、投票率です。女性の方がどちらかというと選挙に行くのです。投票率が高い。それが大きいと思います。

アメリカの選挙は1970年ごろまで男性の方が、投票率が高かったのですが。女性の社会進出が進むとともに、女性の政治進出の必要性も高まり状況は変わりました。妊娠中絶の合法化を認めたロー対ウェイド判決(1973年)をめぐる是非については、国を二分するイデオロギー的な争いが続きました。

また、男女の平等を憲法修正条項に加えるERA(男女平等憲法修正条項:Equal Rights Amendment)議会承認(1972年)から80年代までの各州による批准運動は女性が政治に積極的に参加せざるを得ない、大きな要因となりました。

1980年の大統領選挙で男女の投票率は逆転。1990年代では2ポイント台、2000年以降では3ポイント台、近年では4ポイント近く女性の投票率の方が高くなっています。男女ですので、母体の人口も大きいので数パーセント違うだけでも差が出ます。白人女性に限れば、共和党が高い場合もありますが、トータルとしては女性の投票率の高さが民主党の支持率の高さにつながっています。

また女性とともに、黒人、ヒスパニック、アジア系の人種マイノリティの支持も2020年のバイデンの数字に近くなってきました。今年の選挙での人種マイノリティからのバイデンの支持がだいぶ落ちていて、大きく懸念されていました。

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