トヨタ国内生産の正念場、新興国の需要減速が誤算
欧州金融危機による景気後退が、トヨタ自動車の復活シナリオを狂わせ始めた。8月には2012年(暦年)の生産予想を国内349万台、海外542万台の計891万台と内示。11年計画の721万台はもちろん、リーマンショック直前の07年に残した過去記録、853万台をも大きく上回る強気の数字だった。しかし、まもなく発表される12年の正式な生産計画では、840万台前後に下方修正される。
8月時点でトヨタが社内で共有していたのは、新興国の成長を軸とするシナリオだった。日米欧の販売は当面、07年のピークに戻らない。だが、中国と東南アジアが15年までに07年の2倍以上に拡大する。国内市場が低迷する日本での生産についても、新興国向けの伸びで輸出は10年の水準を維持する。そのため、約300万台の生産を今後も続けられる──。
欧州危機の波及で新興国需要が後退し、数カ月前の前提は早くも崩れつつある。
だが、部品会社の海外進出を促すべく新興国需要を高めに見積もった面があり、そこを見直したことは当然と受け止められている。新興国での需要は一時減速しても、中期的には拡大する。危ぶまれるのが国内生産の維持だ。先進国需要が停滞する中、新興国への輸出も難しくなっている。
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