スマホより軽い!振り切った「VRゴーグル」の勝算 VRChatとビジネス用途の要求を同時に満たす

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これらの用途に共通するのは、高解像度、優れた色再現性、長時間使用時の快適さだ。しかし、従来のVRヘッドセットでは、これらの要求を同時に満たすことが難しかった。「大きくて重いゴーグルは、性能は高いものの長時間の使用には適していません」と小塚氏は指摘する。

パナソニック システムネットワークス開発研究所 事業開発推進部 XR総括の小塚雅之氏(筆者撮影)

さらに、MeganeX superlight 8Kはビジネスユースを想定して、オペラグラスのような使い方も可能としている。本体下部にカメラ用一脚を取り付けられるアダプターを装備しており、VRヘッドセットを手で持って覗き込むように使用できる。この機能により、従来のヘッドマウント型デバイスでは難しかった「ちょっと覗く」ような使用が可能になる。展示会でのデモンストレーションや、製品プレゼンテーション、建築現場での確認作業など、短時間で多くの人がVR体験を共有する必要がある場面で特に有用だと考えられる。

一脚を取り付けてオペラグラスのように使える。自動車製造現場での確認などの用途が想定される(筆者撮影)

ニッチ市場とビジネスニーズの偶然の一致

シフトールとパナソニックの協業は、ニッチ市場への徹底的な特化が予想外の汎用性を生み出すという、逆説的な製品開発の成功例を示した。VRChatユーザーの厳しい要求に応えることが、結果としてビジネス用途にも適した高性能VRヘッドセットの誕生につながったのだ。

185グラムという軽さと4K高解像度ディスプレイの両立、そして跳ね上げ式という簡素ながら実用的な機能の採用は、従来のVRヘッドセットの常識を覆すものだ。大手企業が見落としがちなニーズを掘り起こし、新たな市場開拓につながる可能性がある。ニッチ市場と幅広い用途の融合という視点は、VR技術のさらなる進化と普及のカギとなるかもしれない。

石井 徹 モバイル・ITライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事