ベトナム発「予約困難ピザ店」東京進出の舞台裏 Pizza 4P's設立「元IT系勤務」日本人夫婦の情熱

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経営が軌道にのってからも、益子さん夫婦は本物志向を貫き続けました。

たとえば、チーズに関しては「2020年からは高原地帯のダラットに工房を立ち上げ、専属のチーズ職人たちを雇用し、一貫生産している。来店してくれるお客さまや社内のシェフからのフィードバックを受けて、常に改善を続けている」とのことです。

チーズだけでなく、益子さん夫婦は野菜をはじめとした食材にも徹底したこだわりを持っています。

「かねて無農薬野菜にこだわりたいと思っていたが、当時のベトナムでは有機野菜や無農薬野菜に取り組んでいる生産者が少なく、有機・無農薬農家を探すのにも苦労するような状況だった。また、どうにか仕入れることができても、品質が悪くて使えないこともしばしばあった」と振り返ります。

それでも根気強く、さまざまな農家と取引を続けた末に、同社が見出したのがダラットのティエンシンファームでした。聞けば、このファームはJICAプロジェクトで10年以上、無農薬栽培の指導を受けた実績があり、現在も農薬や殺菌剤、除草剤を一切使用していないほか、リーズナブルに高品質な食材を流通させることを目標としているそうです。

この思いに共感した益子さんはすぐさまティエンシンファームに契約栽培を依頼。その関係性は現在も良好で、スタッフたちがお互いに店舗とファームを行き来するなど、交流を深めながらビジネスを展開しています。

日本やインドでの新たな店舗展開

コロナ禍が収束して以降、Pizza 4P’sはこれまでに培ってきた「幸せの輪」をさらに広げるため、ベトナム、カンボジア以外の国々にも進出しはじめています。2023年末には東京、そしてインドにも出店を果たしました。

その一角を担うPizza 4P’s Tokyoはまさにフラッグシップになっており、内装やデザインにもストアコンセプトである「ONENESS-Earth to People-」を感じさせるこだわりとストーリーが満載。

食材や調理へのこだわりも素晴らしく、店内で製造しているフレッシュチーズはもちろん、日本のオーガニックや不耕起栽培など自然に寄り添った生産者から仕入れた肉や野菜などにも1つひとつにストーリーがあります。

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