自己効力感の低い人が陥っている「症候群」の正体 成果重視の人は、自分は力不足だと思う傾向

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

前出のアンディ・モリンスキーは、インポスター症候群を克服するには、「成果重視」から、その体験から自分が何を学べるかに意識を向ける「学習重視」の発想に変えることが効果的だとすすめています。

「学習重視」の発想になれば、失敗は力不足の証拠とはならず、学習につきもののプロセスとして自分を成長させてくれると捉えることができるからです。

企業でも、とても仕事ができるのに自信が持てず、インポスター症候群だと自覚されている人が少なくありません。

そのような人の多くは、自分の価値を外的要因に左右されやすい仕事の成果や能力、資格などで支える傾向があります。そのため、仕事の成果が上がらなかったり、能力がないと思えることがあったりすると、一気に自分への評価が低くなり自信をなくしてしまうのです。

自己肯定感の研修でインポスター症候群の傾向が改善されるケースが多くあります。それは外的要因に左右されない自分にゆるぎない価値を見いだしていくからです。

ビジネスの現場で求められているもの

企業が力を入れたいテーマとして注目しているのは、「能動的に自分で考え動ける人材(自律型人材)の育成」「仕事における困難を乗り越えられるマインドの醸成」「メンタルヘルス、ストレスマネジメント」などです。

レジリエンスが身につく 自己効力感の教科書
『レジリエンスが身につく 自己効力感の教科書』(総合法令出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ビジネスの現場で求められているのは、前例がないとやらない「前例主義」やリスクがあることは避けて通る「事なかれ主義」を打破してくれる人。

つまり、前例がなくても能動的に先例を自分が示していこうとする人や、困難や難題に対して、逃げたり避けたり断ったりせず、まずやってみて、失敗しながら試行錯誤を繰り返していけばいいというイノベーターのマインドを持てる人です。

そこには、予期せぬトラブルやリスクがあっても、チームで向き合い、人として成長していける、社員の人生を豊かに幸福にする組織風土をつくっていきたいという企業の思いが伝わってきます。

企業が組織の中で抱えている課題を解決するために、働く人の人的資源である「自己肯定感」や「自己効力感」、「レジリエンス」からのアプローチが注目され、研修では実際に効果を上げています。そのような社員の人的資源を大切に育てていこうとしている企業が増えているのです。

工藤 紀子 一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会 代表理事

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

くどう のりこ / Noriko Kudo

「心の仕組み」の理解と「セルフエスティーム向上」についての研究を続け、自己肯定感を高める独自メソッドを確立。2005年ヴィーナス・クリエイトを立ち上げ、延べ2万人以上の自己肯定力向上プロジェクトに取り組む。2013年一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会を設立。個人向け講座、企業や教育現場での研修や講演、講師の育成に力を入れている。2019年中学校道徳の教科書(Gakken)に「自己肯定感」について執筆。「子どもも大人も、自分らしくハッピーに!」をキャッチフレーズに、自己肯定感で職場や社会を元気にする「ラブ・マイセルフ100万人プロジェクト」に取り組んでいる。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事