みんなが「得を感じられる」政策こそが必要だ!--行動経済学からみた年金問題の解決法

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他の改正ポイントは、消費税増税を前提に、給付が増えたり、柔軟になったり、年金加入者にとってプラスの話ばかりだ。これが改革案というなら、実質的な年金の改革が実現することは、今後あり得ないと思われる。

それでは、絶望するしかないのか。そうではない。簡単だ。みんなが得をする案を作ればいい。「それは無理だ」と言ったばかりであるが、実質的にみんなが得をすることはできないが、みんなが現在の期待値を上回る案を作ることは可能である。

すでに受給している人の年金額を現金で減らすのは難しい。だから、給付削減はとりあえずしない。しかし、今の30代以下の人々は、多くの人がどうせ年金はもらえないと思っている。だから、少しでももらえるようにし、これ以上、負担を増やさなければいいのだ。これが可能なら、改革案、いや、新しい年金制度は政治的にも実現するだろう。可能にする一案は、完全積み立て方式への移行である。これにより多くの問題点が解決する。その制度の詳細については、また改めて議論することとしたい。


小幡績(おばた・せき)
株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省、1999年退職。2001~03年一橋大学経済研究所専任講師。2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授。01年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)がある。

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