「便利な製品」を卒業したアップルが目指すもの 新製品が「何も変わっていない」という人たちへ
アップルのヘルスケア担当副社長で医学博士でもあるサンブル・デサイ氏によると「脳が音を処理しないことに慣れて衰えてしまう問題もある」。その結果、認知能力の衰えが加速するという。「それにもかかわらず80%の人は聴力テストを受けていない」(デサイ博士)。
まもなくリリースされる無料のアップデートで、アップルはAirPods Pro2に「耳の健康」に関する一連の新機能を追加する。その1つが「ヒアリングチェック」と呼ばれる聴力テストの機能で、純音聴力検査と呼ばれる標準の臨床的アプローチに基づいており、厚労省も認可をしている。
左右片耳ずつ行われるテストで、AirPods Pro2を通してさまざまな周波数の音が再生されるので、それが聞こえたら画面をタップするという極めて単純なもの。数分間で完了し、診断結果が表示される。
「難聴の可能性がある」と診断された場合は、AirPods Pro 2を使って得られたテスト結果をPDFとして出力して医師に見せることもできる。どの周波数の音がどれくらい聞こえているかをグラフにしたものだ。
難聴を予防するための技術も
多くの人にとって縁遠い聴力検査が受けたければ1日に何度でも無料で受けられる、というだけでも画期的だが、機能はそれだけにとどまらない。
AirPods Pro 2では、そもそも難聴を予防するための技術として毎秒4万8000回のスピードで周囲の音を検知して、耳にダメージを与えそうな大音量の場合には、音の特性を損なわずに音量を下げて耳へのダメージを抑える。
実は、デサイ博士は大音量の音楽コンサートに参加する時も、可能であればAirPods Pro 2を耳につけたまま参加することを推奨している。ちゃんと演奏されている音楽の音質は損なわれずに楽しめ、それと同時にダメージを与える音量から耳を守ることができるからだ。
アップルはミシガン大学公衆衛生大学院および世界保健機関(WHO)と長年にわたってApple Hearing Studyという難聴に関する研究を続けてきたが、その調査によれば「3人に1人は聴覚に影響を及ぼす可能性のあるレベルの大きな環境騒音に日常的にさらされている」という(通勤時の地下鉄、自宅の芝刈り、スポーツイベントへの参加など)。
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