"タワマン配達"の困惑ルール「まるでダンジョン」 台車や置き配の禁止にドライバーは悪戦苦闘
客が不在で、宅配ボックスがいっぱいの場合は荷物を持ち帰り、再配達となる。特に午前中は宅配業者のボックス争奪戦になることが多いという。
今回、マンションの配達の課題に関してある物流企業に取材したところ、営業所で実際に起こったタワマン配達の事例を数多く聞き取ることができた。以下、それぞれの項目ごとに、現場の悩みを追っていきたい。
荷物1個の配達に30分かかる
・配達と直接関係ない手続きが面倒(防災センターなどで受付が必要)
・強固なセキュリティで何重ものロックがあり、配達に時間がかかる
ここでは実際の配達の例をみていく。東京都内の50階超、550戸のマンション。まず、地下1階の警備室で送り状を見せて、配達の指示をもらう。今回の届け先は42階のフロントだ。配達階別のセキュリティ解錠カードをもらうなど、受付には10分かかった。
目的のエレベーターまで2カ所のロックを解錠し、エレベーターの到着を待つ。ここまで15分かかったが、さらに6分エレベーターを待つ。さらに2カ所のロックを解錠して目的の42階に到着。専用のiPadに荷送人、商品などの必要事項を入力する。
入力した情報は専用プリンターで出力される。バーコードを荷物に貼り、フロントの受付で再度スキャンして配達は完了だ。ここまでかかった時間は30分だった。
荷物1個の配達に30分かかることは、タワマンでは決して珍しいことではない。事前に手順を把握していなければ、配達を完了することさえままならない。厳重なセキュリティは住民の安全を守るためだが、配達員には大きなハードルになっている。クリアが難しいダンジョンのようだ。
ちなみに、こうしたセキュリティの強固さには、ウーバーイーツの配達員も苦戦している。防災センターなどで足止めされ、次の注文をなかなか受けられない。都内の配達員の中には意識的に中央区、江東区など湾岸エリアの注文を避ける配達員も多い。
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