"タワマン配達"の困惑ルール「まるでダンジョン」 台車や置き配の禁止にドライバーは悪戦苦闘

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その他の問題
・住民がセキュリティの仕組みを理解しておらず、怒られる
・置き配が禁止されている
・荷物は地下から搬入するが、宅配ボックスは1階に設置されている
・宅配ボックスの数が戸数に対して少ない

配達員がエントランスからインターホンを押すと、客から「ドア前に置いておいて」などと指示されることがある。

しかし、セキュリティが厳重なマンションの場合、目的の階で再度インターホンを押して客にロックを解錠してもらわなくてはならない。2回目に鳴らすと、客から「なんでまた鳴らすの、さっきドア前に置いてって伝えたでしょ」などと理不尽に怒られることがあるのだ。

中央区などタワマンが多い地域を担当するドライバーは「タワマンでは、なぜか上から目線で配達員が怒られるケースが多い」とこぼす。

最近、宅配大手でも広がる「置き配」も、マンションによってはセキュリティ面の事情や美観を損ねるなどの理由で禁止されている。置き配ができれば配達効率は大幅にアップするが、ルールに従うしかない。

また、一部マンションは設計時に物流大手と配達の動線や宅配ボックスの数などについて相談する例もあるが、多くのマンションはそうした効率まで考慮した設計になっていないのが実情だ。

採算悪化で特別料金を模索

現場から寄せられる、マンションへのさまざまな要望
・住民が宅配ボックスに私物を入れる、荷さばきスペースに駐車することの改善
・使用できる駐車場の充実、エレベーターの制限を緩和する
・宅配ボックスの数を増やす。住民の利用を促進してもらう
・セキュリティや置き配の緩和。コンシェルジュに荷物を渡す仕組みなど
・物流センターを常設して運営費をもらい、館内配送を業者に委託する
(一部の大規模マンションでは、1社に館内の配達を集約する例がある)

現場からははさまざまな要望が上がっている。どれも配達をより迅速に、効率的にするための提案だ。しかし宅配業者としては、顧客側に要望を突きつけることは、立場上かなり難しい。

ある宅配業者の首脳はタワマン配達に関して「なんとか特別料金をとれないか」と模索しているという。人手も手間もかけているのに、通常の料金では採算が悪化してしまうからだ。

大手業者は各社とも工夫を凝らしている。Amazonは配達する建物の駐車場の場所やメールルームへの行き方をアプリ上で紹介し、注意事項も共有するなど配達員をサポートしている。

ヤマト運輸は役割分担し、チームで配達する例がある。インターホンを鳴らすスタッフと荷物を配達するスタッフを分ける。荷物が多いときは、不在票を書くスタッフもいるなど、チームで配達を行うという。

次ページ1度に届く荷物が300個になる場合も
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