近鉄5800系「ロング・クロス転換シート」の先駆者 「スムーズな乗降」「乗り物本来の姿」の両立狙う

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開発に当たってはプロジェクトチームを立ち上げて「特急車両並みのデザイン展開」を図った。チームには、「アーバンライナー」や「伊勢志摩ライナー」などを手がけたデザイナーの山内陸平氏のほか、天龍工業技術開発部、近畿車輛デザイン室・設計部、近鉄車両部が名を連ねる。「座り心地やデザインに関係するシートの形状と、転換機能の実現とは寸法上相反する」ため、デザイナーと設計者は3次元の寸法チェックを何度も繰り返したという。

近鉄5800系 L/Cカー ロングシート状態
近鉄5800系の車内。窓を背にしたロングシートの状態(記者撮影)
近鉄5800 L/Cカー クロスシート転換中
クロスシートへの転換中。2人掛け座席が順番に向きを変える(記者撮影)

「画期的な車両」と評価

デビュー翌年の1998年に鉄道友の会の「ローレル賞」を受賞した。同会は受賞理由を「任意に自動転換できる世界でも例のない画期的な車両」であることのほか、省エネ面でも工夫されていると指摘。「このような特筆される企画性や技術を大きく評価」したという。同年のローレル賞はほかに叡山電鉄の展望車両「900系」、熊本市交通局の超低床路面電車「9700形」。最優秀の「ブルーリボン賞」はJR西日本の「500系」新幹線だった。

L/Cカー、デュアルシートは当時の通商産業省のグッドデザイン商品にも選定。1957年の同制度創設以来、鉄道車両のシートが選ばれたのは初めてだった。

近鉄5800系 L/Cカー クロスシート状態
進行方向を向いて座るクロスシートの状態(記者撮影)
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