原油価格、まさかの1バレル=50ドル台はあるのか 中東情勢不透明でも今後の需給は緩むばかり?

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今後も原油需要の低迷が続くなら、OPECプラスは再び減産縮小の開始を先送りせざるをえなくなるだろう。さらに、場合によっては追加減産する必要に迫られることもありうる。

ただし、これ以上の減産には難色を示している加盟国が多いのも事実だ。今年に入ってからの追加減産が、湾岸産油国を中心とした自主的な減産だったことを見てもそれは明らかだ。

また、そうした減産が、アメリカなど非OPECプラス産油国の生産拡大につながるとの懸念もある中、価格維持よりも石油市場における生産シェアの維持を優先すべく、予定通り減産縮小を始める可能性もゼロではないと考えておくべきだ。もし、今の状況下でOPECプラスの生産が増加に転じることになれば、原油価格はコロナ禍にみまわれていた2021年前半以来の50ドル台まで値を崩すことになっても、何ら不思議ではない。

原油市場をめぐる状況変化は、株式市場にも表れる

こうした原油市場を巡る状況の変化は、いずれ株式市場にも影響を及ぼしてくるはずだ。世界的景気減速は、株式市場にとっても中長期的では大きな重石となる可能性が高いからだ。中国が大規模経済対策を発表した24日には景気のバロメーターとされる銅や鉄鉱石などの相場も一時的に反発したが、なお低迷が続いていることも、忘れるべきではない。

足元のアメリカ株式市場では、FRBの利下げへの政策転換やインフレ懸念後退といった買い材料に注目が集まっている。だが、こうした材料は、本来、アメリカの景気減速が要因となっていることを忘れるべきではない。

FRBが今後も積極的な利下げを進めるなら、それは同国景気や雇用の落ち込みに対する危機感を高めているということである。もちろん、景気がそれほど大きく落ち込むこともなく、インフレだけが後退しFRBも無理なく利下げを進められるという、経済のソフトランディングが実現することも十分にありうる。

だが、こうした矛盾する条件をはらんでいるだけに、すんなりソフトランディングとはいかないだろう。FRBの利下げが実際に開始となり、織り込みが進むと、市場の注目は景気動向に集まる。この先、もし弱気の経済指標が一段と目立つようになってくれば、株価もそれなりに大きな調整局面を迎えるのではないか。

松本 英毅 NY在住コモディティトレーダー

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まつもと えいき / Eiki Matsumoto

1963年生まれ。音楽家活動のあとアメリカでコモディティートレードの専門家として活動。2004年にコメンテーターとしての活動を開始。現在、「よそうかい.com」代表取締役としてプロ投資家を対象に情報発信中。NYを拠点にアメリカ市場を幅広くウォッチ、原油を中心としたコモディティー市場全般に対する造詣が深い。毎日NY市場が開く前に配信されるデイリーストラテジーレポートでは、推奨トレードのシミュレーションが好結果を残しており、2018年にはそれを基にした商品ファンドを立ち上げ、自らも運用に当たる。ツイッター (@yosoukai) のほか、YouTubeチャンネルでも毎日精力的に情報を配信している。

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