ゼネコン界に舞い降りた天使「奥村くみ」誕生秘話 奥村組社長は「建設バカ」シリーズを推していた
同僚と居酒屋にいても彼女とデートしていても、建物のことが頭から離れない。周囲が「建設バカ」だと呆れられるほど建設が大好きなゼネコン社員。ときに周りが戸惑う行動をとってしまうことがある――。
これは結局お蔵入りすることになったが、経営陣にはむしろこちらが本命だった。奥村社長は吐露する。「私はむしろ、こちらの『建設バカ』シリーズを推していた。当社の社員に建設バカがいたら嬉しいと思った」。
10名ほどの社員が集まった最終プレゼンの場では、奥村社長はあえて先に自分の意見を言わずに、みんなの意見を募った。すると、若手や女性を中心に出席者の8割ほどが「奥村くみシリーズがいい」と推したのだった。
内心がっかりした奥村社長だが、若い人の意見・感性は重要と考え、「わかった、奥村くみシリーズでいこう」と決断した。
建設業の魅力をうまく発信
知られざるエピソードはこれだけではない。
広報担当の井戸田氏によると「最初の企画段階では森川さんとは別の俳優も候補に挙がっていた」という。ただ「森川さんはヘルメットやユニフォームの着用がOKだった。彼女が名古屋市立工芸高校のインテリア科卒業であることも親和性があると思った」(井戸田氏)そうだ。
奥村組の経営陣に具体的なCM案が提示されたのは、森川さんに候補が絞られた後であり、別の俳優候補が存在していたことは、奥村社長も東洋経済の取材当日(インタビューは2024年9月25日に実施)まで知らなかった。
奥村社長がテレビCM制作の際にこだわったのが、「大阪を本社とする会社のCMらしく、少し笑いの要素も加える」ことと、「建設業の魅力を発信する内容であること」だった。
大成建設で社長と副会長を歴任後、大和ハウス工業の副社長を現在務める村田誉之氏は、東洋経済のインタビューで次のように建設業の魅力を語ったことがある。
「私は建設業の魅力は大きく5つあると言っている。チームで多くの人と協力して仕事ができること。自分たちが作ったものが形として残ること。物作りのプロセスが楽しめること。お客さんの喜ぶ顔を見られること。そして仕事を通じて社会貢献できることだ」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら