ファーウェイが中国独自の「AI計算能力」に執念 米制裁下でもAIの進化を止めない体制構築へ

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アメリカ政府の制裁が続く前提で、ファーウェイがコンピューティングパワーを高めるにはどうすればよいのか。

「中国国内で利用可能な半導体製造技術でコンピューティングパワーを構築しなければ、長期的な持続可能性を担保できない」(徐氏)というのが、ファーウェイが出した結論だ。

ファーウェイは自社開発のAI半導体を核にした独自のエコシステムの構築を急ぐ。写真は2019年8月にリリースした第1世代のAI半導体「昇騰910」(同社ウェブサイトより)

徐氏の説明によれば、AIの性能を高めるには半導体の演算能力だけでなく、システムの(最適化を通じた)総合的なパフォーマンスが重要になる。そこでファーウェイは、新たなコンピューティング・アーキテクチャーの創造を通じて、(海外の技術に依存しない)中国独自の持続可能なコンピューティング産業を作り上げていくという。

この戦略の中核となるのが、ファーウェイが自社設計するAI半導体「昇騰(Ascend)」だ。その第1世代の「昇騰910」は(アメリカ政府の制裁が強化される前の)2019年8月にリリースされ、半導体の受託製造で世界最大手のTSMC(台湾積体電路製造)が回路線幅7nm(ナノメートル)のプロセス技術で製造した。

2025年に次世代AIチップも

その後、2023年夏に投入した改良型の「昇騰910B」は、生成AIの大規模言語モデル向けのトレーニング機能を大幅に向上させた。業界関係者の間では、さらに性能を向上させた「昇騰910C」が2024年後半に登場すると予想されている。

(訳注:ファーウェイは昇騰910Bがどこで製造されているかを公表していないが、中国の半導体受託製造大手のSMIC[中芯国際集成電路製造]が協力したとみられている)

「2025年に次世代の『昇騰920』をファーウェイが投入できれば、その性能はエヌビディアが中国向けに販売する(演算能力を抑制した)AIチップ『H20』を圧倒する可能性がある」。中国の半導体コンサルティング会社の責任者は、財新記者の取材に対してそんな見方を示した。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

ファーウェイは独自のAIチップの開発と同時に、その性能を最大限に引き出すエコシステム構築に全力を挙げる構えだ。輪番董事長の徐氏は、前出の基調講演で次のように決意を語った。

「今後の5年間に、ファーウェイはエコシステムの発展にさらなる投資をしていく。われわれの目標は、コンピューティングの分野で世界にもう1つの選択肢を提供することだ」

(財新記者:覃敏)
※原文の配信は9月20日

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