フランス新政権の短い命と極右次第の解散総選挙 法案審議のたびに不信任投票にさらされる必然

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また、極右が主張する選挙制度改正が実現しない場合も、次の選挙で極右の台頭を阻止できるかは予断を許さない。最大勢力となりながら政権発足の機会を与えられなかった左派連合が、次回も大統領支持会派との選挙協力に応じるとは限らないためだ。

このように、新たにフランスの舵取りを託されたバルニエ首相はどうにか政権発足にこぎつけたが、議会運営は困難を極め、極右勢力に政権の命運を握られている。

危うい予算成立、確実な来年の解散総選挙

10月1日に再開される国民議会では、法案審議のたびに内閣不信任案にさらされる異例の事態が待ち受ける。政権発足の遅れで議会の審議日程もタイトとなり、脆弱な議会基盤とあいまって、年内の予算成立を危ぶむ声も浮上している。

政治空白の長期化で財政再建の遅れが意識され、金融市場に再び動揺が広がる事態は回避されたが、不安定な政治環境が続くことは避けられない。短命政権に終わり、来年にも議会の解散・総選挙が行われるのはほぼ確実とみられる。

今回の政権がマクロン大統領による院政と受け止められれば、行き場を失った反マクロン票が極右勢力や左派連合にさらに流れる恐れもある。史上最大の選挙イヤーを通過した来年もフランスの政局不安が払拭されることはないだろう。

田中 理 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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たなか おさむ / Osamu Tanaka

慶応義塾大学卒。青山学院大学修士(経済学)、米バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)にて日、米、欧の経済分析を担当。2009年11月から第一生命経済研究所にて主に欧州経済を担当。

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