フランス新政権の短い命と極右次第の解散総選挙 法案審議のたびに不信任投票にさらされる必然
極右勢力が無条件でバルニエ政権の存続を支持することはない。極右が新政権に突きつける条件のうち、今後の政局展開にとって重要となるのが選挙制度改正だ。
国民議会選挙は任期前解散の場合を除き、5年ごとの大統領選挙の直後に行われ、577の選挙区で、2回投票制の小選挙区制で争われる。初回投票で過半数の支持を集めた候補が勝利し、過半数の支持を得た候補がいない場合、上位2名と有権者の12.5%以上の票を獲得した候補が決選投票に進み、決選投票で最多票を獲得した候補が勝利する。
「選挙制度の壁」を崩したい極右
極右勢力はこれまで選挙制度に阻まれることが多かった。今回の国民議会選挙でも、極右勢力は初回投票で圧倒的にリードしたが、決選投票では左派会派と大統領支持会派が候補者を一本化したことで、多くの議席を落とした。
選挙制度と反極右票の一本化に阻まれて第三勢力に転落した極右勢力だが、決選投票での得票率は37.1%と、左派会派の25.8%、大統領支持会派の24.5%を上回っている。
極右の主張通り、比例代表の要素を盛り込んだ選挙制度改正が実現した場合、次の選挙で極右の政権奪取を阻止するのは従来以上に難しくなる。
むろん、今回の左派会派のように、極右が次の選挙で第一党になったからと言って、単独で過半数の議席を確保しない限り、極右勢力から首相を任命する必要はない。
だが、極右勢力に今以上に多くの議席が配分されれば、単独過半数が難しいにしても、左派会派と大統領支持会派が手を組む以外になくなる。
左派会派が政権入りした場合、極右政権誕生時よりも拡張的な財政運営となる恐れがあり、こちらも金融市場の動揺を誘うことになろう。
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