ストレスづきあいの上手な人、下手な人 保坂隆著
現代はストレス社会といわれるほど、ストレスの原因となることが溢れている。ストレスを抱えていない人は少ないだろう。だが実際に、本当に自分においかぶさっているストレスに気付いているだろうか。自分は何にストレスを感じているのか、知っているだろうか。
本書を読むと、ストレスが進行すると次の3つのタイプにわかれることがわかる。
(1)身体的症状(慢性疲労、肩こり、腰痛、動悸など)
(2)精神的症状(イライラ、不安、何事もおっくうなど)
(3)行動的症状(酒、タバコの量が増える、ギャンブルにふけるなど)
ストレスからくる症状は気付かず悪化すると病気になる恐れもある。
たとえば、本書にあるK子さんの場合。キャリアウーマン志向だった彼女は、サポートが業務の中心だった電機メーカーのOLから、実力で評価される外資系へ転職した。英語もできたK子さんは順調な滑り出しだったが、ある日を境に、急に肩が凝り、腕が上がらなくなってしまった。仕事の効率は落ち、結果、職場を去らなければならなくなった。
力を落とし帰宅したK子さんはふと肩が軽くなっているのに気付く。外資系の会社は、毎日が競争で、愚痴をこぼすこともできず、毎月査定をされる環境が自分で思っている以上にストレスになっていたのだ。
K子さんの場合、肩こりで済んでよかった。ストレスの影響は自分たちが思うより大きいと著者は語る。
ストレスの対処の仕方についてもタイプがある。タイトルにある「ストレスづきあいの上手な人、下手な人」の章では対処法のタイプを提示している。
積極行動タイプ:積極的に問題解決をはかることでストレス解消
気晴らしタイプ:別の好きなことに打ち込みとりあえずストレス発散
否認タイプ:ストレスの原因を見て見ぬふりして先送りにする
回避タイプ:ストレスそのものを回避する
自分がどのタイプにあてはまるのかチェック表が付いているので試してみるといい。各タイプへの著者のアドバイスは、今後のストレス対処の参考になる。著者は、対処法はひとつだけでなく、使い分けることでストレスにうまく対処できるともいっている。
最終章では、1人でも自宅でも簡単にできそうな著者のお勧めのストレス解消法も紹介している。自分にはストレスはあると思っていても、具体的に何が自分に影響しているかを意識している人は少ないだろう。本書はストレスに上手に付き合う意識を高めてくれる1冊だ。
角川グループパブリッシング 740円
(フリーライター:荒幡 幸恵)
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