そごう・西武が再出発「豪華パーティー」開いた理由 「西武池袋で買い物する理由」を打ち出せるか

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縮小

そごう・西武のオーナー(親会社)の変更にあたっては、売り場面積の大幅な縮小をはじめさまざまな軋轢が生じたものの、会社の転換点となったことは間違いない。経営陣からは攻めの姿勢に転じ、西武池袋を盛り返すという気迫が感じられた。

売り場面積の半減という条件は厳しい壁として立ちはだかるうえ、改装計画に盛り込まれた衣料品売り場の縮小などを「楽観視すべきではない」という業界関係者の向きもある。

しかし、パーティーで積極的に語られたのは「順調さ」や「前向き」といった内容だ。華々しさの裏には、改装計画に対する内外の不安を打ち消す狙いもあったようだ。

リニューアル控える西武池袋の今

西武池袋本店の建物は9月1日からヨドバシHD池袋ビルとして株式会社ヨドバシ建物が管理・運営している。現在、百貨店は、駅改札やパルコからやや距離のある西武池袋本館南側の一部で営業を続けている。

9月中旬に池袋を訪れると、いつもと変わらない人通りの中に違和感のある風景が広がっていた。西武池袋の地下1階部分のシャッターが下ろされているのだ。

改装を控える西武池袋。ヨドバシが入居する場所は「SEIBU」の文字が消されている(記者撮影)

地下1階にあった総菜や菓子などのデパ地下売り場は7階の催事場に移動し、「デパナナ」として営業している。そのほか、地下2階には西武食品館、地上1階にエルメスのブティックや化粧品、7~8階で高級アパレル、宝飾時計・美術などの売り場が営業している。

飛び地で本館北側のルイ・ヴィトン(地上1~2階)も変わらず営業しているが、本館南側の2~6階をはじめ、大部分は改装工事のためにクローズされている状態だ。

1階の化粧品、7階の食品などテナント集積型の売り場は若い女性や主婦層、ビジネスマンなどでにぎわっていたが、テナントが減っている上層階は閑散としていた。

新生・西武池袋が力を入れるのは、業界全体でも好調のラグジュアリー・コスメ・デパ地下(食品)の3領域。それに加え、そごう・西武がもともと得意とするアート分野でも出色の店舗になることを目指す。

ラグジュアリー・コスメ・食品の強化は業界の定石だ。伊勢丹新宿店メンズ館には今年3月、ルイ・ヴィトンの常設店がオープン。11月には本館で婦人向けの常設店を構える。今後、新宿・池袋エリアのラグジュアリー競争はさらに激化しそうだ。

人気のカテゴリーに照準を合わせることは、ややもすれば他の百貨店と同質化した店舗になりかねない。過去に幾度もの売り場改革を打ち出してきたが、いかに「西武池袋で買い物する理由」を打ち出せるかが、リニューアルの成否を握るだろう。

山﨑 理子 東洋経済 記者

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やまざき りこ / Riko Yamazaki

埼玉県出身。大学では中国語を専攻、在学中に国立台湾師範大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在小売り・アパレルを担当。趣味はテレビドラマのロケ地巡りなど。

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