今回は試乗できなかったが、6速ATモデルにはマニュアルダウンシフト制御に改良が加えられた。コーナー進入時にダウンシフトを許容するシーンを増やし、ドライバーが変速したいところでの対応回数を増やしている。具体的にはアクセルやブレーキの操作量や車体の減速度などからドライバーのダウンシフト意図をくみ取り、変速終了時のエンジン回転数をC型比で最大1460回転上げる(≒ダウンシフト可能シーンを増やす)制御を施した。
今だからこそ求められる、楽しいクルマづくり
GR86とBRZはスポーツカーとして誕生し今に至る。販売台数のうえではミニバンやコンパクトカーに及ばない国内のスポーツカー市場だが、この両車にはスポーツカーにとって大切な“乗って楽しい要素”が詰まっているし、将来のクルマづくりの上でも継承すべきところがたくさんあると筆者は考える。
車両の電動化が求められているが、それと同じ熱量で車両重量が軽く、高性能なスポーツカーの車造りも大切に育まれるべきだ。すなわち、使用素材が少ないことからLCA(ライフサイクルアセスメント:ひとつの工程だけ見直すのではなく、全工程で生じる環境負荷を定量的に評価する手法)換算ではCO2低減に貢献する要素があるし、クルマの三大性能である走る/曲がる/止まるを昇華させることで、先進安全技術やその先の自動運転技術との高い融合点が見出せるからだ。
そしてなにより、乗って楽しいクルマづくりの継承こそ「環境と文化」の両面において新しい技術を生み出す原動力になる。2013年から続く協業にはそんな意味と意義が含まれていると思う。
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