米国の株離れをもたらす構造変化の正体 フィデリティ・インベストメンツ資産運用部門社長
次に、投資家たちは高配当の株式に注目するとよい。配当利回りが2%かそれを超える株式で、優れたポートフォリオを構成することができる。そのような企業は非常に質が高く、株価の値上がりが期待できる。
株価は現在、1999年当時の水準にまで後退している。だが、将来もその傾向が続くとは言い切れない。過去10年間、米国市場において企業収益は堅調だったが、評価は弱含みだった。企業のバランスシートは良好で、企業の生産性は非常に高い。基本的に、株価収益率は下落しており、過去の平均を下回っている。ある時点で、すべてが逆に動き出すことになるだろう。
──しかし、株価がいつ回復するのかがわからない。
最善の方法は分散投資することであり、確固たる方法で投資を行うようにすることだ。つまり、特定の金融商品が値下がりした際にその商品の購入を増やし、値上がりした際に購入を減らすという方法だ。
08年の第4四半期から11年の第1四半期を例にとって見てみよう。11年の第1四半期は、08年の金融危機から脱却していく上げ相場が終焉を迎えた時期だった。この時期をうまく切り抜けたのは、資産配分をまったく変更しなかった401k投資家たちだった。08年後半と09年前半、市場で下落傾向が続いていたときに、一定割合を株式、債券、現金に投じていたなら、結果として、株価が安い時期により多くの株式を購入したことになる。自らの裁量で投資していた場合よりも、多くの株式を購入できたはずだ。401k投資家たちは、このようにして金融危機を実にうまく乗り切った。
パニックに陥る個人投資家たち
──その後、今年に入って株価は下落した。
彼らが資産配分を変更していなければ、株価上昇時には株式の購入が減り、債券の購入が増えたはずだ。このやり方は、完璧ではないにしても投資家にとって最良の手段だ。アセットアロケーション型投信(相対的に固定した割合で株式、債券、現金に資金を投資する投信)への需要が高まっているのは、偶然ではないと思う。過去5年、これらの投信は人気が急上昇している。