米国の株離れをもたらす構造変化の正体 フィデリティ・インベストメンツ資産運用部門社長
第二に、非常に大きな長期的傾向として、年金基金の変化がある。米国では、多くの確定「給付」型企業年金基金が凍結され、中には閉鎖されたものもある。「凍結」とは、新たな加入を認めないことを意味し、その一方で従業員を確定「拠出」型年金プランに移行させている。そのため、今の年金基金は主に退職者の年金プランを運用していることになる。年金プランの閉鎖を考えている場合には、変動を嫌うため、株式への関心は薄れるものだ。
第三の傾向としては、人口の高齢化がある。退職年齢に近づくにつれて、安定した収益をもたらす債券など、リスクの低い資産への投資を増やすのが賢明になる。
金融危機を乗り切った401k投資家
──あなたの指摘する傾向が、長期間にわたっての悪循環となる可能性はあるのか。
社会の高齢化や、機関投資家が流動性の低い株式への投資から得られる高収益を求めるといった傾向は、今後もしばらく続くだろう。
確かに、ベビーブーム世代の後にはエコーブーム世代(団塊の世代の子供世代)が控えており、今後10年程度は、米国の高齢化の影響を一部減殺するだろう。しかし、長期的傾向を打ち消すほどの影響力はない。私が言いたいのは、長期的傾向が景気低迷期の通常の循環的な株価離れを増幅している、ということだ。
──では、個人投資家はどうすべきなのか。
まず、今でもかなり多くの人々が401kプランを継続している。401kプランでは、当然ながら、ドル・コスト平均法がとられている。言い換えれば、株価が下がったときにより多くの株式を購入し、株価が上がったときには購入する株式が減ることになっている。